せっかく聴くのなら、質の良い医学英語を選ぼう

 英語の読み書きは問題なくても、発音が聴き取れないことで壁にぶつかる人は少なくない。難解な医学英語であれば、なおさらだ。

 「英語を聴く」勉強法にはたくさんの教材やサービスが存在するが、聖路加国際病院アレルギー膠原病科の岸本暢将氏が取った「予備校に行く」という勉強法は、リスニング能力向上に一役買ったという。「臨床留学を目指して、医学部6年の半年間ほどUSMLEの勉強ができる『カプラン』に通いました。ここでの勉強にハマり、病院実習がある平日9時から16時以外は通い詰め、余った時間もひたすら自習していました。今思えば少し異常でしたね…」

 カプランの勉強スタイルは、1人ずつ専用のブースに入り、医学系の英語の講義ビデオをヘッドフォンをつけて観ながらノートを取り、復唱し、聴き取れなかったら教師に質問するという、五感を使ったトレーニングだ。岸本氏は、これで医学英語を読む・書く・聴く力の基盤を築いた。「単語や熟語は、実際に発音を聴き、声に出してみないと身に付きません。僕は予備校を選びましたが、DVDやネット上の学習サイトなどでもできると思いますよ」

 予備校の場合はそれなりに費用はかかるが、こうした王道の勉強法で徹底的にリスニング能力を養うのも早道かも知れない。

iTunesを立ち上げ、「iTunes Store」の中に、ミュージック、映画などと並んで「iTunes U」のカテゴリがある(画面は2010年12月3日現在)。講義の模様が映像、音声(PDF資料があるものもある)で公開されており、すべて無料だ。

iTunesで手軽に新鮮英語をGet
 「お金と時間、そして自分の努力があれば英語の実力は付けられます。でも、できればコストパーフォーマンスよく勉強したいもの。そこで私が最近推薦しているのが、『iTunes U』です」と話すのは日大神経内科准教授の大石実氏。

 iTunes Uとは、Apple社の配布する「iTunes」(動画や音楽の再生、管理をするソフト)からダウンロードできる教育コンテンツのことで、米国や日本の大学など800組織以上が参加している。各大学で実際に行われている講義などの映像や音声を、無料で視聴できるのが特徴だ。

 「個人的には、Stanford School of Medicineの『MEDCAST』がオススメ。2時間近くある講義のファイルもあり、聞き応えは十分。まるで、オープンキャンパスに行っている気分ですよ」(大石氏)。パソコンだけでなく、iPhoneやiPodなどにもファイルをダウンロードでき、生の英語を簡単に“携帯”できるのも魅力だ。

「Podcast」をiPhoneやiPod touchなどで再生すると、再生速度を×2や×1/2に変更できたり、ボタン1つで「30秒戻る」ことができる。語学勉強にはうれしい機能だ(写真はiPhone 3GSで再生中のNEJMのPodcast)。

 また、「Podcast」の存在も見逃せない。これも「iTunes U」と同様に、iTunesを介して音声や動画ファイルをダウンロードするタイプのコンテンツ。NEJMやLancet、JAMAなどの医学雑誌や、Nature、Science、Cellなどの科学雑誌の専門チャンネルがあり、医学英語の勉強に最適だ。

 「論文の読み上げ音声や、論文筆者へのインタビューファイルなど、充実したコンテンツが毎週のように更新されるのがとても魅力です。市販のCD教材などは繰り返し聴いていくといずれ飽きてしまいますが、Podcastならば常に新しい英語に触れられます」と、自治医大循環器内科の木村まり子氏も話す。

 iTunesには、継続して聞きたいPodcastを登録しておけば、更新されると自動でファイルをダウンロードする機能もあるため、いちいち手間もかからない。無料で質の高い英語を耳にできるこうしたサービスは、使い方次第で頼もしい勉強ツールになるはずだ。