クラブハウスの医務室で、GK八木直生選手のけがの具合を確かめる関氏とフィジオセラピストの安藤貴之氏。その後3人はグラウンドに出て、30分ほどランニングをこなした。

この職は息子にも渡さない!
 関氏自身も小学校5 年生からサッカーを続けていて、現在は東京医科大サッカー部監督でもある。チームドクターになったのは、日本サッカー協会のサッカードクターセミナーで行われた親睦試合がきっかけ。試合中の関氏の動きを見て、当時の住金のチームドクター高木俊男氏からスカウトされた。「『お前、うまいな!うちに来い!』と言われたときはうれしかった。自分の好きなサッカーに、医師としてかかわれるのですから」

 アントラーズでの20年弱を振り返るとき、ジーコとの出会いは忘れられない。西大宮病院のトレーニングルームの壁には、ジーコと関氏が一緒に写った写真が飾ってある。「ジーコは医療スタッフの徹底指導のためにブラジルから理学療法士を呼んだり、選手のサポートに関しても高いレベルの取り組みを数多く要求しました。それがあったからこそ、今の常勝アントラーズがある。やっぱり“神様ジーコ”は特別でしたね」

「今日も選手みんな、けがなく頑張ってほしいですね!」と試合前に関氏。試合は、2対1でアントラーズが勝利した。

 初めて会った時のことは今でも鮮明に思い出せる。「『ドクター、サッカーは好きか?』と開口一番聞かれました。『もちろん!』と答えると、満面の笑みで握手してくれました。ああ、鹿島に来て良かったと思いましたよ」

 Jリーグでは現在、どのチームもチームドクターの空きがない状態だという。「うちの息子も、僕の後釜を狙っているんですよ(笑)。でも、鹿島アントラーズにいられる幸せを、手放すつもりはまだありません。ピッチで倒れた選手まで全力疾走できるうちは、絶対辞めません!」