珍しい医師、名付けて「めずらし医」。南極観測隊の同行医、プロスポーツチームの専属ドクター、自衛隊の医務官、ドクターヘリの搭乗医、航空宇宙医師、豪華客船の船医--。本特集では、特殊な環境で働くそんな「めずらし医」が大集合!業務内容、忙しさ、報酬、仕事の喜びなど、知られざる日常を明かしてくれた。


関 純 Jun Seki
鹿島アントラーズチームドクター●1981年東京医科大学卒業、整形外科教室に入局。83年に住友金属工業蹴球団チームドクターに就任。以降、サッカー日本代表、オリンピック代表、ユース代表などのチームドクターを歴任する。89年西大宮病院副院長、92年鹿島アントラーズチームドクター就任。

 「選手とはみんな仲がいいですが、特にいいのは小笠原満男選手ですね。一見無口に見えますが、付き合ってみると彼ほど面白い男はいない(笑)。あと、マルキーニョス選手。彼とは日本語とポルトガル語を織り交ぜながら、何でも話せる仲です。ジーコがいたおかげで、私も少しポルトガル語が話せるんです」

2010年5月1日の対ガンバ大阪戦。ゴール前で相手選手に腕を踏まれ、倒れ込んだGKの曽ヶ端準選手。その様子を見て関氏はピッチを一直線に駆けて行く。幸い大事には至らず、すぐに立ち上がった。後ろで心配そうに見つめるのは、MF小笠原満男選手。photo:Hirohisa Shingaki

 Jリーグで、2007年からの3年連続を含む7度の年間優勝を果たし、天皇杯の優勝も3回を数える鹿島アントラーズ。そのチームドクターが、西大宮病院副院長の関純氏だ。前身である住友金属工業(住金)の蹴球団時代からのチームドクターで、アントラーズの生き字引きでもある。

10年間は週4日チームに帯同
 関氏は通常、週3日は病院で整形外科医としての外来診療に従事し、休日にはチームドクターの仕事をこなす。「大好きなサッカーにかかわれるなら、休日がつぶれても全く構いません。ただ、時期により試合の曜日が変わるので、勤務先の協力なしには続けられなかったでしょう」

 チームドクターの仕事としては、一般的な整形外科診療がメーン。海外遠征中は全身管理も担うので、ある程度、他科の知識も必要になる。

 チームドクターとしての勤務は、1試合に付き2日間が基本。試合前日に選手寮(遠征中なら宿泊地)に入り、出場選手のメディカルチェックを行う。翌日は、ホームでの試合なら午前中にクラブハウスに出向き、出場しない選手やけがの選手をケアする。「リハビリ中の選手とは、軽くランニングしながらゆっくり経過を聞くこともあります。そうすることで選手との信頼関係も築けますし、何より僕の運動にもなります」(笑)

 試合開始の1時間半前には、選手とともにスタジアムに入る。キックオフ後はベンチで待機し、試合中に選手が倒れるとそれこそ全力で駆けつける。その姿は、Jリーグ名物といわれるほどだ。

 アントラーズ誕生から10年間は、チームドクターを1人でこなしてきた。「シーズン中は週に4日チームに帯同することもあり大変でしたね。今は4人のチームドクターがいるので、ローテーションで回しています」