東日本大震災で日医に13億円の義援金が集まる
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201106/520504.html

 国内外から寄せられた義援金を日本医師会が被災地医師会に配布した、という記事です。これを読んで、私はちょっとしたアイデアを思い付きました。

 被災から5カ月が経過した今、被災地の地域医療をどう立て直すかが大きな問題になっています。しかし、政界は荒れ、最近の国会答弁でようやく地域医療の立て直しが話題に上り始めたものの、実行がまったく追い付いていないようです。地域医療の重要なプレーヤーである自治体にも余裕はありません。では、誰が音頭を取って地域医療の再生を担うのでしょうか?

 そこで登場するのが日本医師会です。全国各地で開業医ネットワークを持つ日本医師会が、小規模な開業医も中核病院も分け隔てなく支援すれば、地域医療を再生させられるのではないでしょうか。

 日本医師会は長い間、開業医の利権団体といわれてきました。
任意加盟ということもあり、組織率は国内の医師の約6割の16万5000人程度ですが、それでも、医療界でこれほど大規模な組織がほかにないことは確かです。

 日本医師会に寄せられた義援金には、「開業医に限って助けてくれ」というような気持ちは、まさか込められていないでしょう。国や自治体では手が届かないところを日本医師会が支援し、医療界が自らの手で地域医療を再生させるモデルケースを作ることはできないでしょうか。

 日本の医師は責任感が強く、いわゆる「ノブレス・オブリージュ」(「高い身分に伴う義務」などと呼ばれます)の精神も強いと思います。しかし、震災から既に4カ月が経ちました。ボランティア頼みから脱し、報酬を支払うなど、継続性のある形での支援活動にシフトすべき時期です。

 いつまでもボランティアで賄っていては、地域医療の再生にもつながりません。バイトでもいいから医師を継続的に派遣する仕組み作りや、地域が必要とする医療を提供し続けられる体制作りを急がねばなりません。ここに、地域社会に根ざした活動を行ってきた日本医師会の出番があるのではないでしょうか。

 公益法人制度改革が進められている今、日本医師会にとっても悪い話ではないはずです。これをきっかけに、国民や医療者から「日本医師会は確かに公益のために働いている」という評価を勝ち取ってほしいものです。

 今後、数十年の単位で考えれば、日本のどこかが再び大きな災害に見舞われることは、ほぼ確実だと言われています。東日本大震災という経験を通じ、地域医療再生のために、他の地域の医師は何ができるのかを考え、実行していくべきではないでしょうか。

 悲しい出来事を、せめて医療界が一つになるきっかけとしてほしい、そう思っています。(水)