今回のテーマは、日経メディカル オンラインに掲載された以下の記事。
「大学病院本院の定員充足率、自校出身者率ランキング」

 よくある「マッチング記事」だがちょっと面白い。「大学附属病院のマッチ者における自校出身者比率」が載っているのだ。

 マッチ者に対する自校出身者の比率が低い大学病院をざっと見てみると、関東の大学や、いわゆる「ブランド大学」の病院が目立つ。このことは何を意味するのか?単純に考えて以下の2つだろう。

(1)ブランド大学の卒業生が出身大学の附属病院に就職しなかった
(2)ブランド大学の附属病院に、他校出身の人がたくさん就職した

 ブランド大学の卒業生が自分の大学の附属病院から逃げ出した理由は何だろう。私的な印象だが、昨今は「市中病院で研修すること」自体がブランド化している感がある。市中病院の指導内容や待遇の良さといった要素はもちろんあるだろうが、既に「有名大学出身」というブランドを得た医学生が、「新たなブランド」を求めて今度は市中病院へ、という流れがあるのではないか。

 また、ブランド大学出身者にしてみれば、学生時代の実習で嫌というほど見てしまった自校の大学病院で、わざわざ2年間も研修医をやろうとは思わない人も少なくないのではないだろうか。

 ブランド大学病院に、他校出身者が集まった理由として、まずは魅力的な立地が考えられる。80の医学部は日本の津々浦々にあるが、一般的な傾向として、都会にある医学部の方が入学の難度が高い。受験生全体の傾向として「都会志向」があるのではないだろうか。これは6年後になっても大きくは変わっていないのではないか。

 そしてやはり「ブランド」である。実際問題として、ブランド大学の医局は今でも比較的支配力が強いところが多い。地方大学で医局の“支配力”が弱いところの学生は、「強い医局」を求めて東京のブランド大学に行きたくなるのかもしれない。

 ただし、この記事に出て来る自校出身者比率は、「マッチング者の合計数に対する自校出身者の割合」であり、「ある大学の卒業生の総数に対する附属病院へのマッチ者の割合」ではない。卒業生の出身大学への評価を図る指標としては、大まかな目安と考えるべきだろう。

 例えば、東大病院は今年度130人の初期研修医を採用しているが、東大Webサイトによれば東大医学部の卒業生は1学年90人程度。なので、あり得ないことだが、仮に東大出身者全員が東大病院で研修をする状況だったとしでも、「自校出身率」は7割弱にしかならず、このランキングでは上位には入らないことになる。

 後期研修についてもこのようなデータがあれば、初期研修以上に出身大学への評価が端的に分かって面白いのではないだろうか。ちなみに慶應は初期研修の自学出身者は32.0%と少ないが、同大関係者によれば後期では出身者の8割程度が戻るとのことだ。(水,仮,一角兎,甲)