避難所の生活不活発病、どう防ぐ
 多くの報道でも触れられているように、今回の熊本地震は、東日本大震災とは異なる点がいくつかありました。1つは、津波や原発の問題がなかったこと。この点については多くの被災者が「熊本は津波も原発もないんだから頑張らなきゃ」とコメントしていました。結果として、動ける人は毎日自宅の片付けに通い、生活不活発病を防ぐことにつながっているようです。

 一方で、自宅が全壊していたり、被災した住宅の状況を自治体が判断する「応急危険度判定」で、立ち入り危険を意味する「赤紙」が貼られたなどの理由で、家に入れない人は避難所で寝るしかなく、生活不活発病になってしまいそうな人もいました。

御船町内にも、落石で通行止めとなっている場所がありました。

 日中あるいは夜間だけ避難所を利用している人を複数見掛けたのも印象的でした。熊本では今もなお、余震が続いています。私が滞在している間にも、数回の余震が起こりましたが、何より怖いのは音だと感じました。地震が来ると、震度が大きくなくても建物から大きな音がします。結果、帰る家はあるものの、夜寝る時は倒壊を恐れて避難所に来る方や、昼間は家族がいないので余震が怖いから散歩がてら避難所で過ごすという方がいました。今後避難所の集約が進んだ後も、サロンのような形で住民同士が交流できる場を設けられれば、災害後の震災関連死を減らす一助になるのではないかと思います。

災害医療で目の当たりにした医療と社会の関わり
 避難所などを回っていると、様々なボランティアの方がいることが分かります。その中で「医学生です」「医療関係者です」と自己紹介をしたり、血圧を測ったりすると、最初はちょっと警戒している避難者の方の心理的ハードルが一気に下がることを実感しました。

熊本赤十字病院の廊下には、震災当日の写真が掲示してありました。一枚一枚から、当時の緊迫した状況が伝わってきました。

 医療が社会と密接に関わっている身近なものであり、これまでの日本の医療を作ってきた先輩方が作った市民との信頼関係があるからこその反応なのでしょう。同時に、自分たちに課せられた責任の重さも感じました。学校生活ではついついおろそかにしがちですが、これを機に災害医療について学び直し、次の災害へ備えたいと思います。

 今回の活動は、自らも被災されながら避難所などでの医療支援を続けるくまもと健康支援研究所 Facebook )のみなさん、天草市や長崎市から物資の支援などを続けている特定非営利活動法人つなぐ Facebook )など、多くの方の協力の下に実現しました。心より感謝申し上げます。