地域力を感じた避難所の運営体制
 今回、私が訪問した避難所は、ほとんどがうまく運営できていました。

2日目は復旧作業をお手伝いしました。地震で屋根から落ちた瓦は、一枚一枚割って土のう袋に詰めて廃棄する必要があります。

 行政の力を頼るのではなく、「自分たちでやらなければ」と行政を上手く利用している避難所のリーダーに複数出会いました。このような自治が行われている避難所では、避難者の誰がどのような支援を必要としているかすぐに分かるため、支援のスピードが上がる傾向にありました。

 このように被災者がお互いに助け合える関係が築けていたのは、いい意味で田舎だからこそであり、地域力が高かったのだと思います。このような地震が都会で起きたら、大混乱が生じるのではないかと懸念してしまいました。地域全体で普段から顔の見える関係を作ったり、緊急時にリーダーになれる人を育成しておくことの重要性を感じました。

支援者や「頼りになる人」の疲弊が心配
 一方、心配になる出来事もありました。戸別訪問中に出会った、ある高齢女性の話です。その女性は、地震より前から近所で助けを必要としている家庭に自主的にお手伝いに行っている方でした。地震の時もその方たちと一緒に避難し、お世話を続けていました。ところが避難中に(地震と関係があるかは分かりませんが)支援をしていた方が目の前で亡くなってしまったとのこと。地震そのもののショックと相まって、それ以降、睡眠障害が出ているというお話をしてくださいました。

益城町で見かけた家屋。

 福祉を必要としている家庭は、保健師など行政の方や地域の方などが気に掛けてくれます。しかし、支援者側への支援は行き届いているとはいえません。地域力が強いからこそ、逆に危うい部分もあるのかもしれない、と感じた出会いでした。

 行政職員の疲労が極限に達しているのを感じる場面もありました。ある避難所でお話を聞いていると、「自分は元気だけど、娘のことが心配。2、3日前に帰ってきた時も疲労困憊になっていて…」というお母さんがいました。娘さんは行政職員で、地震発生以降働き通し。ほとんどお休みが取れていません。その娘さんは以前病気に掛かっていたこともあり、お母さんは大変心配していました。私は、帰り道に娘さんが働いている施設を通り掛かることになっていたため、娘さんのところに立ち寄ることをお母さんと約束しました。

 この2つのエピソードからも、災害時には頼りになる人ほど休めないことを実感しました。休めない人が出ないようにするには、地域全体で支援の必要な人のお手伝いをしたり、仕事を上手く分担して「○○さんがいないと仕事が回らない」という状態をなくすなど、日頃の取り組みが問われるのだと思いました。

 また、他の行政職員の話では、利己的な人への対応がストレスになっているようでした。支援物資をもらいやすい避難所の情報が流れるとそこに殺到し、大量の支援物資を持って行く人を見ても、必要以上に受け取っているのではないかと感じてもいちいち注意している余裕はなく、フラストレーションがたまるということでした。住民1人ひとりのモラルの問題ですが、今後対応が求められる点だと感じました。