もう1つの密かな目的は、医療職の方々にその情報格差を再認識してもらう場を作ることでした。学生時代、ポリクリで病棟を回っていた頃、主治医が患者さんに説明するのを横で聞いていて、「この説明は多分患者さんは理解できていないな、でも仕方ないから分かったふりをしているな、医師はそのことに気づいていないな」と思うことが何度もありました。それは、学生という医療者と非医療者の中間的な存在だったからこそ気づけたことかもしれません。

 そんな私が医師になって8年が経った今、そのような状況に気づくことは減った気がしています。つまりポリクリで見た医師と同様に、私も専門知識が増えた分、一般的な知識との境目が分からなくなり、患者さんが説明を理解できていないことに気づけなくなっているのではないかと恐れています。それ以前に、形式上説明すること自体が目的になってしまって、理解されたかは後回しにすらなっているのかもしれません。

 そんな日々の診療から少し離れて視点を変え、医療職紹介のイベントで解説をするとなれば、もう少しじっくりといろんな面が見えてくるのではないか、それがその後の診療にも生かせるようになるのではないか、とも思ったのです。

 個人的には、私は非常に良い経験ができ、いろんなことに気づくことができました。例を挙げると、ブースの準備をする時点で、何が専門用語でどういう言葉なら伝わりやすいかをあらためて考える機会を持てました。血圧って何?点滴って何?これを簡単に説明するのに結構苦労しました。後から考えると、なんでこんな簡単な言葉がすぐに出てこなかったんだろう、と思いますが。みなさんも、小学生にも分かるような言葉で簡単に説明する方法をちょっと考えてみてください。聴診って何を聞いてるの?血圧ってどうやって測るの?と。

 他のスタッフからも、新たな発見があった、刺激になった、など多くの喜びの声を聞くことができました。何より全員、本当に楽しそうでした。自分の知っていることを人に教える、自分の仕事のことを知ってもらう、というのは楽しいんですね。当初はそんな期待はしていませんでしたが、やってみてよく分かりました。

 さて、このようなメディカル・ブート・キャンプが2016年の秋にも開催予定です。参加者もスタッフも、どちらにもともに楽しく、そして役に立つ。そんなイベントに皆さんもボランティアとして参加されませんか?非常に貴重な経験ができること請け合いです。

 ご興味があれば、私までご連絡いただければと存じます。(higashi1979◆yahoo.co.jp←◆を@に変える)