スムーズなディスカッションにつなげるために準備すべき2つの事
 ポスターセッションは、症例報告と医学教育、臨床研究などの分野があり、4日間を通じ7セッションに分かれていました。1セッション当たり、約150枚のポスターが会場の部屋に貼られていました。セッションの時間は約1時間であり、発表者はポスターの前に立って閲覧者に対し症例の概要を説明したり、ディスカッションを行います。

 私の発表は3日目だったので、自らの発表までに他の参加者のポスター発表を見聞きし、参考にすることができました。私がポスターを遠慮がちに遠くから眺めていると、発表者は近づいて来るや否や「Hi! How are you? Good! I'm ○○ from △△. May I have my presentation for you?」と話し始めます。思わず「Yes…Please!」と答えてしまいました。プレゼンター自らの発表に対する自信と、それをアピールする積極性にただただ圧倒されました。同時にその積極性を自らの発表の際に真似てみたいと思いました。

今回の開催地となったカナダのトロント。

 そしていよいよ私の発表になりました。私が発表したのは内分泌分野の症例です。閲覧者から質問を受けるケースもありましたが、足を止めてポスターを見てくれている閲覧者に対して「Hi! How are you?…」のやりとりで半ば強引に始め、簡単な説明を申し出ました。すると皆興味を持って説明に耳を傾けてくれ、彼らの疑問も投げ返してくれました。その際、(1)概略を2〜3分で説明できるように準備しておく、(2)できるだけたくさんの想定質問と回答を準備しておき、それをアレンジして質問に返答することの2点がスムーズなディスカッションのために大切だと感じました。自分なりに真似てみた積極的な姿勢も、発表に生かされた気がします。

英語での発表はネイティブ相手にひたすら練習
 今回は初めての国際学会での発表でしたが、国際学会での発表経験を持つ藤川先生に教えてもらいながら準備を進めることで、無事発表を終えることができました。症例は院内のカンファレンスで発表した症例であり、特に希少疾患というわけではありません。しかし鑑別疾患を考える際に理学所見から複数の鑑別疾患が挙がる点や、発症に人種差や性差が関連してくるという点から国際学会で発表するのに適切と考えました。

 抄録は5000文字(約500単語)以内という文字数制限があり、オンラインでSGIMに提出します。SGIMのサイト上には模範的な抄録の書き方、ポスターの作り方を解説するページ(PDF)が準備されており、今回に限らず役に立ちそうだと感じました。12月に提出した症例の採択結果は2月下旬に通知され(メールにCongratulations!とありました)、そこからポスターの製作に取り掛かりました。

 実際の発表は当然ながら英語ですが、思ったことをすぐに英語にするのは難しく、特に医学用語は簡単なものでも思いつかないものです。当院では、内科カンファレンスで練習する機会に加え、ネイティブ講師による英会話教室が毎週院内で開催されています。その場をお借りして英語発表を練習してきました。また、指導医の知り合いの医療関係者でネイティブの方にご協力いただき、オンラインでディスカッションの練習をさせていただきました。このように、ネイティブスピーカーを前に発表の練習をする機会があったため、本番でもそれほど緊張せずに発表できたと思います。

また参加したい国際学会、いずれは口頭発表を
 今回は、海外の研修医や臨床医と交流する機会を持てたこと、日本とは異なるディスカッションの進め方を目の当たりにできたこと、研修医が臆することなく堂々とプレゼンを進める姿など多くの刺激を受け、帰国の途に就きました。

 自ら発表する場面でも、積極性を持って自分の言葉で伝えようと努力すると、拙い英語でも立ち止まって耳を傾けてくれることを実感しました。今回のようなポスター発表は、少人数を相手として自分のペースで進められることが利点であり、初めて参加する国際学会の雰囲気を知る意味でも良い経験となりました。

 将来、海外留学を志す方、専門分野で世界に発信していきたいと考えている方にとっても、医学生や研修医のうちからこのような学会に参加することはモチベーションの向上を図る良い機会と思われます。私もいつかはオーラルプレゼンターになれるように臨床能力、英会話力ともに高めていきたいと思っています。来年の第39回SGIM年次総会は2016年5月11〜15日の5日間、米フロリダ州ハリウッドのDiplomat Resort and Spaで開催されることが決まっています。ぜひ、皆さんも参加してみませんか。

※SGIM公式ウェブサイト:http://www.sgim.org/