私は2015年4月22日から25日、カナダのトロントで開催された第38回米国総合内科学会(Society of General Internal Medicine:SGIM)の年次総会に内科指導医の藤川達也先生の勧めでともに参加し、当院で経験した症例のポスター発表を行いました。

 SGIMは、米国を中心とする医科大学、教育病院の内科医約3000名で構成される国際医学学会です。医学教育やプライマリケア、予防医学、そして治療に関する研究を主眼としています。毎年4〜5月に行われる年次集会は、今年で38回を迎える歴史ある学会です。欧米を中心に世界各国から参加者が集う国際的な学会であり、過度に専門的すぎないセッションも多数催されています。研修医の私でも十分に興味を持って参加できた学会でありました。

 今回の開催地となったトロントは札幌市とほぼ同じ北緯43度に位置しており、4月下旬はようやく春が訪れてきたといった程度の気候。朝は氷点下まで下がるなど、まだまだ寒さが残る時期でした。会場となったSheraton Centre Toronto Hotelは、落ち着いた雰囲気の高級ホテルです。いくつもの会場に、各国から大勢の参加者が集っていました。

 会場で目立っていたのは「Proud to be GIM(総合内科医であることに誇りを)」という標語。なんでも、医学生、レジデントに向けて総合内科がいかにスペシャルな分野であるかを伝え、希望を与え、そして勧めていくためのキャンペーン標語とのことでした。

米国有名病院のチーフレジデント達による発表は圧巻
 実際のセッションは、臨床の各分野、医療安全、リーダーシップ論、老年医学など、教育・臨床の様々なジャンルの講演が行われていました。ホームレス、特定の宗教、刑事裁判などに関する医学問題といったように、海外ならではのセッションも開催されていたようです。我々は主に臨床推論や難渋した症例報告のセッションに参加しました。臨床症例に関するセッションは、まだ専門分野を選択していない私のような研修医でも比較的興味を持って聴講することができました。

SGIMの標語「Proud to be GIM(総合内科医であることに誇りを)」の横に立つ筆者。

 まずは難解な症例報告6例が発表された「Clinical Vignette Award Finalists」というセッションを聞きました。難解といっても、決して希少疾患というわけではなく、予期せぬ転帰をとった症例や多数の病態が複雑に絡み合っている症例などが発表されていました。スライドやプレゼン手法は、さすがに洗練されたものが多い印象でした。中には医学生の発表者も。司会者からまだ医学生であるということを紹介されて、会場がどよめく一コマもありました。

 「Errors in Clinical Reasoning」というセッションは、最近注目されてきている診断のエラーを減らすことに主眼を置いたもの。診断・治療がうまくいかなかった理由を、司会者、会場の参加者がともに考えていくスタイルでした。例えば、薬剤選択を誤った際、どうしてその選択に至ったのかを発表者が正直に述べ、他の参加者とともに修正していくという非常にインタラクティブなセッションでした。

 圧巻だったのは、「Unknown Vignettes with Chief Medical Residents」という米国の有名病院のチーフレジデント達による発表でした。これも症例報告のセッションではありますが、チーフレジデントだけあって、話し方、進行の仕方は慣れたものです。ある発表者が、司会者に治療内容の矛盾を指摘された際に、根拠を述べて毅然と反論していた様子がとても印象に残りました。日常的にこうした医学的なディスカッションの場を多く持っているのだろうなと感じました。