図書館の本を選んでいるのは?
 もちろん、母校神戸大学の医学部キャンパスにある医学分館には、分厚い成書をはじめ、様々な医学書がそろっていました。でもその本はどのように選んでいるのでしょうか? 図書館の司書の方々に本選びについて取材してみました。すると司書の方々も、悩みながら医学書を選んでいるということが分かりました。

 「良い医学書を入れたいが、『どれが良い医学書なのか』の判断に困っている」というのです。もちろん、医局の先生方や医学生の声を集めて参考にしてはいますが、それでも必要な本を網羅的にそろえることは難しいとのことでした。

 取材後、改めて図書館の医学書を見てみると、ハリソンなどの成書は多数あり、ほかにも良い本はあるのですが、医学生や研修医に人気の参考書が意外に見あたらないことに気付きました。例えば、現場で使える思考過程が身につくような症候学・診断学の本や、病棟管理や救急対応の現場で必須となる知識やコツを、マニュアル的なまとめかたではなく、病態生理と関連づけて “理解できるように” 解説した本などです。

 「せっかくの図書館をうまく活用しない手はない!」。そう思った私は、早速司書の方に、自分に本を選ばせてほしい、また、医学生が良い本を手に取りやすくするために、推薦図書コーナーを設置してほしい、とお話しました。ここで司書の方々の賛同を得られたことから、私の『図書館の質向上プロジェクト』が始まりました。5年生の4月頃のことでした。

 しかし、「推薦図書コーナー」を単に“良い本が置いてある棚”というだけのものにはしたくありませんでした。アクションを起こそうかと迷っている医学生の背中を押せるような場にしたくて、コンセプトを練りました。そこで考えた必要条件は

(1)いつでも良書にアクセスできること
(2)医学生に、勉強の道標を示すこと

の2つです。

 図書館では良い本ほど棚にない、という状況になりがちです。それを避けるため、思い切って推薦図書コーナーは貸し出し禁止にしました。神戸大学の図書館は24時間利用できますから、これで(1)の「いつでも良書にアクセスできること」が実現できました。

 ただオススメの本を並べておくだけでは、どの本から読んだらいいのか、迷ってしまいます。そこで、後輩向けの道標として書評を書きました。どんな風に、どんな順番で勉強を進めて行くかの参考にしてもらうため、推薦図書コーナーと同じ棚に掲示することにしました。