読書の時間を大切にしなさい。
一冊の本との出会いがあなたの生き方を
変えてくれることだってあります。


      〜〜ジョセフ・マーフィー





 医学部に入って数年経ち、臨床医学に触れ始める頃になると、「そろそろ勉強しようかな」と考える学生も出てきます。でも、勉強する気はあるけれど、どう勉強すれば良いのか分からず困ってしまう学生も結構多いのではないでしょうか。

 学内外で開かれる勉強会に参加するのはハードルが高いし、かと言って分厚い成書を買っても本棚の肥やしになるのが関の山。部活の先輩は「学生のうちは遊んでおいたほうがいいよ。国試に受かりさえすれば大丈夫だから」、などと言ってくる始末…。

 私は学生の頃によく勉強会を主催していたのですが、人集めには毎回かなり苦労しました。というのも、多くの学生にとって勉強会とは“頭の良い学生が集まって難しい内容について学ぶところ”といった、ハードルの高いイメージがあるからです。

 そんなハードルを越えて来てくれる、決して多くはない参加者に、来てくれたからには良いものを得て帰ってほしくて、企画づくりや運営には、仲間と一緒にずいぶんと力を入れていました。そんなとき、後輩たちからよく質問されたのが、「どんな風に勉強していけばいいか?」ということです。私は後輩達に「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えたい」と考えました。さらに、せっかくなら「不特定多数の学生」に「魚の釣り方」を伝えられないか、と考え始めました。

 勉強会に来るような、やる気と実行力のある学生には、「魚の釣り方」を直接伝えることができますが、そうではない学生にも、向学心はもちろんあります。それを少しでも後押しできる仕組みが作れないかと考えたのです。

 私には勉強会の企画・運営に携わるきっかけを作ってくれた先輩がいるのですが、このときも相談したところ、絶好のテーマを投げかけて背中を押してくれました。それは『図書館の蔵書を充実させる』というものでした。

良い本と良いときに出会いたい。それには…

2010年秋の推薦図書コーナー。およそ40冊ほどが小さな棚の2段分に収められていました。

 不特定多数に教育効果が出る仕組みを作るには、できるだけハードルを低くすることが大切です。「本に手を伸ばす」ことのハードルは、「勉強会に参加する」ことに比べれば、かなり低いと思われました(ときに、お金はかかりますが)。

 私達は幸い、母国語の医学書が無数にあり医学の良書も多いという、非常に恵まれた環境で学んでいます。それでも、“初学者”にとっては、医学書の多さがかえってネックになることもあります。何から読めば良いのか分からず、難易度も判断できず、そんなにたくさんの医学書を積んでおけるお金などないからです。

 しかし、それらをまとめて解決してくれる強い味方が図書館です! 良い本さえそろっていれば、医学生がタダで勉強できて、自分で購入する前にゆっくり立ち読みもできるのですから。