近年、学生や研修医が主催するセミナーや勉強会が、数多く見られるようになってきた。特に、家庭医療、感染症診療、救急医療、医師のキャリアパスなどのテーマで活発に開催されているように感じる。

 そうしたイベントには、全国から意欲的な医学生や研修医が集まり、ゲストスピーカーの話を聞いたり、小規模なグループでワークショップを行ったりして学び、互いに刺激を与え合う。学生の頃から、このようなイベントに参加し、恩恵を受けてきた一人としては、こうした活動が浸透し、広まっていることはとても喜ばしいことである。

大都市圏に集中する学びの場
 しかし、良いことずくめというわけでもない。第一に、セミナーや勉強会の開催地が問題である。得てして、セミナーの多くは東京や大阪、京都、名古屋などで開催される。全国から参加者を募ろうと思えば、交通アクセスの良い大都市を選ぶのは無理もない。こうした場所は、普段から活発にイベントが開かれていることもあって、周辺地域にセミナーへの参加意欲のある学生や研修医などが多く、参加者を募りやすいというメリットもある。

 けれど、考えてみてほしい。学生や研修医を対象としたセミナーを行う場合、全国に散らばっている彼らに、果たして東京や大阪、京都、名古屋などに行けるだけのお金や時間があるだろうか。

 学生には時間はあるがお金はなく、研修医や医師にはお金はあるが時間がない。例えば、私が現在住んでいる沖縄から、学生や研修医(沖縄県立中部病院や群星など、沖縄は研修医が多く集まる土地でもある)がどうやって東京や大阪まで頻繁に出かけられるというのだろうか。

 私が学生時代を過ごした仙台市でも、やはり学生や研修医向けのセミナーは少なかった。かたや東京では毎週のように魅力的なセミナーや勉強会が開催されており、仙台から東京まで新幹線なら90分でアクセスできるが、その費用(片道1万円)は決して安い金額ではない。

 沖縄や仙台といった地方都市から東京や大阪などの大都市に頻繁に通い、セミナーに参加することは、端的に言って、無理である。それならセミナーになんて参加しなくてもいいじゃないか、そこまでしなくても医学は学べるよ…。そんな声も聞こえてきそうである。が、しかし、何と言っても「セミナーは楽しい!」のである。新しい仲間や尊敬できる先輩たちと出会い、以前からよく知る友人たちとお互いの近況や情報を交換し合い、そのうえ、医師、研修医、医学生などが混じり合い、新しい何かを学ぶチャンスが生まれる、そんな素敵な場なのである。

「それなら沖縄で開催しよう!」

DANC1の運営スタッフ。後列右端が筆者。

 そんな素晴らしい学びと交流の場を、地方でもどんどんつくっていきたい!そんな思いから、学生の頃から様々なセミナーの企画や学会発表を共同で行ってきた友人の柴田綾子と一緒に、“第1回 でーじ あぎじゃびよー ナイト かんふぁ(以下DANC1)”を企画した。開催日は2012年10月20日(土)。なるべく多くの参加者に参加してもらえるよう、同日に開かれた、琉球大学医学部PBL勉強会主催の「第二回闘魂祭」に続く夜間企画として位置付けた。

 ちなみに、「でーじ」は沖縄方言で「かなり」とか「とても」の意味で、「あぎじゃびよー」は「あきれる様子」を意味する。

JNC(尋常じゃないカンファレンス)のアイデアを拝借
 DANC1は沖縄県那覇市で開催。形式としては、2012年6月に阪南市民病院(大阪府阪南市)で開催された「尋常じゃないカンファレンス」(参考記事)からアイデアを拝借し、症例を題材としたクイズ形式のセミナーを夜通し行うことにした。夜22時に開始、翌朝6時終了予定とし、その間に約45名の参加者と症例プレゼンターが8症例について議論した。

 プレゼンターは、徳田安春(筑波大学教授 水戸協同医療センター)、佐田竜一(天理よろづ相談所病院)、北和也(阪南市民病院)、宜保光一郎(沖縄県立中部病院)、井上稔也(沖縄県浦添総合病院救急部)、柴田綾子(沖縄県立中部病院)、杉浦由佳(沖縄県立南部医療センター)、河野圭(中頭病院)の8氏(順序は発表順、敬称略)。それぞれの症例で臨床推論クイズを行い、80点満点で参加者の成績を順位付けした。なお、上位入賞者にはグラム染色Tシャツ、そして総合1位を獲得した参加者にはトロフィーが授与された。