コーヒー・ブレイクの様子。軽井沢の涼しい風の中、テラスで気分転換します。

 大内先生の総論ではまず「日本が超高齢化社会を迎えており、社会の高齢化に伴いさまざまな問題が発生している」という現状を確認したうえで、老年期に特徴的な症状や所見(「老年症候群」と呼ばれる)、高齢者における総合機能評価の大切さ、さらには老年疾患の予防のあり方まで、現在の老年医学の重要なトピック1つひとつが紹介されました。

 特に「高齢者は複数の疾患を抱えていることが多いので、複雑系として考えることが大切」という点を強調されていたことが、印象に残りました。

 ここで最初のコーヒー・ブレイクです。テラスでお茶を飲み、お菓子をつまみながら、先生方に質問したり、気軽に話したりすることができます。私も、最近の老年医学の学際研究プロジェクトや、日本医学会が後期高齢者のエビデンス形成を目的に実施している無作為化比較試験 EWTOPIA75(Ezetimibe Lipid LoWering Trial On Prevention of Atherosclerosis in 75 or Older)など、普段聞けないようなお話を聞くことができました。このセミナーでは、受講者が一方的に講義を聴くだけでなく、先生方と気軽に話ができるよう、こうした機会を意図的に多く設けているそうです。

「飲み込む」ことの難しさを実感
 金沢医大の森本茂人先生による「高齢者の肺炎と嚥下障害」という講義は、私が初めてこのセミナーに参加した3年前にも受講したのですが、今回再度受講して、改めて新鮮に感じました。嚥下障害は言葉の発達とともに発生してきたことを知ると同時に、「飲み込む」という何気ない行動は、さまざまな動作や機能が複雑に絡み合って成立していることが分かりました。

 面白かったのは、先生の薦めで、上を向いて飲み込もうとしてみたことです。こうすると、普段問題なく飲み込めている私たちでもむせてしまいます。この体験で、「嚥下」が障害を来たしやすい機能なのだと実感しました。

 東京大学の秋下雅弘先生の講義「高齢者の薬物療法の注意点」では、高齢者は複数の疾患を抱えていることが多く、また臓器予備能が低下している、多剤併用が多くみられるといった特徴があるために、薬物による有害作用が発生しやすく、投与量にはそれだけ注意を払う必要があると教わりました。

 重篤な有害作用が出やすい薬剤や有害作用の発生頻度が高い薬剤、効果の割に有害作用の危険性が高い薬剤などは、優先的に中止すべきであり、また、アドヒアランス(服用率)を向上させるために、降圧薬や胃薬などは、薬効が同じ2、3剤を1剤に集約したり、合剤にしたりすることで服薬数を減らすほか、回数も1日3回から2回以下に減らすなど、服用を簡素化することも大切とのことでした。

 1つひとつの臓器に注目して別々に薬を処方するのではなく、患者さんが抱える問題を統合的にとらえて処方を考えていくことは、患者さんのためになる一方で、医療費削減にもつながる、非常に重要なことだと感じました。

 1日目の夜には懇親会があり、講師の先生方とゆっくり話ができました。その後は学生たちがコテージの1室に集まり、自己紹介や大学の紹介をしたり、将来を語り合ったりして、親睦を深めました。