癌研有明病院で実際に使われている3次元放射線治療計画システム「Eclipse」を使って、肺がんの治療計画を立てました。

 私が運営スタッフとしてかかわっている「医師のキャリアパスを考える医学生の会」(以下「医学生の会」)ではこの夏、「第3回放射線医学見学ツアー」を主催しました。参加者の声や事後アンケートのコメントを交えて、ツアーの様子を詳しく報告します。
 
 「第3回放射線医学見学ツアー」は、癌研究所有明病院と放射線医学総合研究所を会場に、2010年8月17〜18日の1泊2日の日程で開催されました。放射線医学の楽しさに触れ、その魅力を知ると同時に、「日本の放射線医学は今後どのように発展するべきか」を考えるきっかけにしてもらおうと企画したものですが、今年も多くの方々の協力を得て充実したプログラムになりました。


「第3回放射線医学見学ツアー」プログラム

1日目(会場:癌研有明病院など)
・レクチャー
「癌研究会の紹介」「日本の放射線治療の歴史」「画像診断、核医学、治療機器について」
・病院見学
・治療計画
・放射線治療に関する特別講演 京都大学大学院医学研究科・平岡真寛先生

2日目(会場:放射線医学総合研究所)
・レクチャー「重粒子線治療について」
・施設見学 重粒子線棟、緊急被ばく医療施設など

 このツアーはもともと、癌研究所(以下「癌研」)の顧問である土屋了介先生が、放射線医学研究所の村山秀雄先生の講演に感銘を受けたことをきっかけとして、2008年に始まりました。学生との交流を非常に重視しておられる土屋先生は、医学生が放射線医学の魅力に触れられる機会を見学ツアーという形で設けてくださり、今年で3回目を迎えました。北は青森から南は長崎まで、今回は過去最高の28人の医学生が参加しました。

本物のツールで肺癌の治療計画を策定
 1日目の治療計画プログラムでは、癌研有明病院で実際に使われている3次元放射線治療計画システム「Eclipse」を使い、コンピューター上で画像診断を行い、癌の場所や放射線を当てる角度などを考慮しながら肺癌の治療計画を立てました。

 参加者からは大変好評で、アンケートにも「とても楽しかった」(2年)、「実際に医療現場で使用している機材を使ってプランニングしたのが面白く、early exposureとして非常に良い試みだと思った。」(5年)などのコメントがありました。

 楽しいだけでなく、放射線を当てる角度や線量を丁寧に吟味し、「肺に十分当たっているか」「逆に、心臓や脊髄へのダメージが大きくはないか」など、逐一確認しながら進めていく様子に、気の遠くなるような作業だと感じました。

 このプログラムを担当した先生の「あらゆる可能性がある以上、ベストな照射をみつけようというよりも、ベターを探していくというスタンスが大事だ」という言葉が、強く印象に残りました。