写真5 上:寝具の乾燥にトラックを導入しました。下:トラックの内部です。

トラックの導入で乾燥効率が大きく向上
 6月下旬には、「ダニバスターズ」の活動が大きく前進する出来事がありました。「50℃以上の熱で30分以上布団を乾燥させれば、ダニは死滅する」という情報から、大きな空間を温めるための知恵を出し合い、実験を重ね、トラックの導入に踏み切りました。

 トラックの箱車部分にジェットヒーターで熱風を送り込むことで、70℃程度の車内温度を実現し、箱車内に布団を吊るしてダニが死滅するまで乾燥させる方法が実現しました。この「箱車作戦」の導入により、1日当たり300枚の布団の乾燥が可能になり、一気に効率が上がりました。乾燥にかかる時間も半分以下に短縮され、1日に2〜3カ所の避難所に出動できるようになりました(写真5)。

 また、公衆衛生上の問題により確実に対応できるよう、PCATの医師の協力を得て、カビやダニ対策の専門家にも指導や調査・研究協力を受けながら活動を進めました。

 このような、多くの試行錯誤を重ねて、最終的にダニバスターズの活動内容は以下の5つに固まりました。

1. 避難所の生活環境・衛生状況の調査とカビ・ダニ防除方法の指導
2. 寝具の破棄・交換・夏用タオルケットの配布
3. 寝具の乾燥(改造トラックを使用し、60〜80℃で1時間以上)
4. 避難者と協働し、避難所内清掃・消毒
5. 消毒・防虫・殺虫・除湿材や段ボールベッドなど、環境改善物資の提供

写真6 復興の象徴「ひまわり」の苗を植える小規模なイベントを開催しました。

 また、被災以来の避難生活で、支援に対し過剰に受身になりつつあった被災者自身の自立と、自主的な衛生管理を促すことも重要な課題となっていました。そこで、被災者を巻き込んで一緒に避難所を清掃する試みが、被災者自身が復興に向けて積極的・能動的に動くきっかけになることを意識して、活動に取り組みました。

 さらに、避難所の雰囲気に応じて、臨時に「お茶っこ」(近所の方々と漬け物や煎餅でお茶を飲みながらおしゃべりを楽しむという、東北地方の習慣です)を開催したり、花植えや合唱などのゲリライベントを仕掛けるなど、被災者と寄り添い笑顔を引き出すための活動も、随時行いました(写真6)。

のべ1900人のボランティアが53避難所で活動
 気がつけば、ダニバスターズは6月上旬の実働開始から徐々にその範囲を広げ、ダニやカビの問題が一段落した9月中旬までの3カ月間に、石巻市、女川町、東松島市の53カ所の避難所を回り、1日当たり20〜30人、延べ人数にして約1900人のボランティアスタッフを動員したビッグプロジェクトになっていました。また、衛生リスクの高い避難所や、1回目の訪問後に再び衛生面のリスクが高まった避難所には、2度目の介入も行いました。

 ダニバスターズは、9月末日に解散しました。理由は、気温が下がり、ダニ・カビの繁殖リスクが低くなったこと、避難者の自立を促すために、掃除方法を指導したり、消毒用品、掃除物資などの提供を進めたりしたことで、避難者自身で衛生管理が行えるようになったことです。また、9月の時点で、大半の避難所は避難者が10〜20名程度と小規模になっており、10月11日には避難所を完全閉鎖するという石巻市の宣言もあったことから、ボランティアへのニーズも収束したと判断しました。今では、現地の方々も含め、運営スタッフ全員が、それぞれ、次のステップに進んでいます。

 文字通りゼロから立ち上げた活動が、あれよあれよという間に形になり、実現できたのは、協力し賛同してくださった多くの方々のおかげです。この場を借りて、すべての人とのご縁、絆の力に改めて感謝したいと思います。被災地の方々の生活が一日も早く日常を取り戻せるように心から祈っております。