7月1日の記事「東北のお産を救いたい! そのためには・・・」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/blog/pcat/201107/520491.html)で、宮城県石巻市のあべクリニック産科婦人科への支援をお願いしました。その後、5人の産婦人科医師からPCATに支援のお申し出をいただきました。また知り合いの産婦人科医の先生からも、支援のお申し出をいただきました。

 読者の皆さまに深く感謝するとともに、この場を借りて、あべクリニックへの支援の状況をご報告したいと思います。

 石巻の周産期医療体制は震災以前から厳しい状況にあり、あべクリニック産科婦人科院長の阿部洋一先生は、この25年間、年に数日程度しかお休みをとられていませんでした。被災後、4月1日に分娩取り扱いを再開した後は、市内のお産が集中し、さらに厳しい状況になっていました。

 今回、お申し出いただいた先生方のお陰で、お盆前後の1週間余りの期間に、ベテランから若手まで計5人の産婦人科医師をPCATから派遣することができ、阿部先生に25年振りの夏休みをとっていただくことができました。

 リレー当直の前に阿部先生からいただいたメールには「私も責任を持ってしっかりと頑張って休ませてもらいます」という嬉しいメッセージがありましたが、実際、ご夫婦で25年ぶりの夏休みを水入らずで過ごされたそうです。

若手産婦人科医師の研さんの機会に
 リレー当直に入っていただいたのは、主婦会館クリニックの堀口貞夫先生、NTT東日本関東病院の杉田匡聡先生と上野山麻水先生、聖マリア会小林産科婦人科の小林肇先生、立川相互病院の平林靖子先生です。5人の先生方には、これまであべクリニックに支援に来ていただいた先生方と同様に、PCATから当直料と必要経費をお支払いして、来ていただきました。

 PCATでは、当直医の先生方の引き継ぎのために当直台帳を用意しておきましたが、最初に当直された堀口先生が、これとは別に当直医が感想を書き込めるような自由記述式のノートを作って下さいました。当直リレーをする医師同士の交換日記のような、自分の思いを書き込めるような場となり、ほのぼのとした連帯感が産まれました。

 このリレー当直を企画した私たちのチームでは、当直担当の先生と頻繁に連絡を取るなど、万全のサポート体制を心がけました。余震があるたびに「あべクリニックは大丈夫?」と現地に何度も確認の電話を入れ、当直して下さる先生方に感謝しながら、祈るような一週間を過ごしました。

 実は、後期研修医である平林先生には、大ベテランである堀口先生の当直日にもオンコールで張り付いていただきました。平林先生からは「勤務先も医局も経験年数もまったく違うベテランの先生方と一緒にお産を取らせてもらえて、この上なくいい勉強になりました」とのご感想をいただき、被災地支援が、若手産婦人科医師の育成の機会にもなったことを、大変嬉しく思いました。堀口先生からも「とてもいい経験をさせてもらいました」とのコメントをいただきました。私自身も、今回はボストンにいましたが、いつか当直に行きたいと思っています。

 また、小林先生の当直日には、母体搬送の症例もあったそうですが、「中核病院の石巻赤十字病院との関係が良く、スムーズに受け入れてもらえました」とのことでした。また、小林先生は「医師紹介会社などを通せば普通はお金がかかるところを、産婦人科医たち自身で人を募ったというのは画期的です」と激励してくださいました。

 今私は、石巻地区を2週間に一度訪問して妊産婦支援の活動にあたっていますが、震災から5カ月過ぎても、改めて今回の震災と津波の影響の甚大さを感じる日々です。被害が大きかった地域では、未だに通信ネットワークが復旧していない地区も少なくありません。

 PCATは発足当初から「長期的な支援」をうたってきましたが、その役割を果たすときが、今まさにやってきたと感じています。