東日本大震災で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。

 私は多摩ファミリークリニック(神奈川県川崎市)の大橋博樹と申します。昨年4月にクリニックを開業して1年を迎えようというとき、この大地震が起こりました。当院をはじめ、川崎市周辺では幸いにも甚大な被害はありませんでしたが、被災地の報道を目にするにつけ、想像を越える被害に心が痛みました。

 私が理事を務めている「日本プライマリ・ケア連合学会」は、「すべての人々のあらゆる健康問題に対応する身近な医療者」による学術団体です。会員は、医師や歯科医師、看護師、薬剤師など多職種に渡っています。

 今回の大震災発災後、理事会のメーリングリストでは、「プライマリ・ケアの専門家集団として何ができるか?」「お金だけでない支援は?」「救急医療とは異なるアプローチでの支援はできないか?」などなど、さまざまな議論が起こりました。

 3月12日の深夜に「学会として、被災地において一定期間、亜急性期〜慢性期の診療支援のコーディネート(ハブ機能)を主軸とした支援に取り組むこと」を理事長決定しました。翌3月13日には、東日本大震災支援プロジェクト対策本部を立ち上げ、チーム名を「Primary Care for All Team:PCAT」としました。3月17日には被災地支援の第一陣として、内藤俊夫先生(順天堂大学総合診療科)を宮城県気仙沼市へ派遣しました。

 今日から始まるこのブログ「PCAT便り〜被災地支援の現場から」では、PCAT発足からのさまざまな出来事や現地の最新情報、そして本部で奮闘するスタッフたちの生の声をお届けします。

 私達は災害医療の専門家ではありませんし、災害時緊急派遣について特別な訓練などを受けた経験もありません。しかし、被災地の皆さんや、被災されてもなお最前線で奮闘されている医療関係者の方々に、プライマリ・ケアを実践する私たちができることは少なからずあると確信しています。また、被災範囲が膨大で、支援活動も長期におよぶことが確実な今回の大震災で、隠れた医療的弱者、社会的弱者に対し、長期的な支援ができるのも、私たちなのではと考えています。

 PCATには3つのモットーがあります。第1に、「継続性・恒久性・地元人材/文化を重視した底上げ型の医療・保健支援」。第2に「被災者/被災地の多様なニーズに対応するための、多職種を巻き込んだ包括的な医療・保健支援」。第3に「将来また必ず起こるであろう災害への備えを想定した、学術型の医療・保健支援」 です。

 それぞれの詳細は、実際の活動報告などを通じて、少しずつ説明していきたいと思いますが、一言でいえば「地元の方々と共に作り上げていく支援」です。

左から、筆者、角泰人PCAT専任医師(フィールドマネージャー)、井垣 敦PCAT事務職員(ロジスティック担当)です

 PCATは、現在も宮城県の気仙沼市と石巻市に、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、鍼灸師などからなる10数名規模のチームを、常時派遣しています。また、東京本部にはPCAT専任の常勤医師2名をはじめとする職員が、休日を含め常駐しています。

 まだまだ未熟なプロジェクトチームですが、被災地の皆さんの笑顔のために、これからも支援を続けていきます。そして、私たちも被災地の皆さんと共に成長していきたいと思っています。震災から2カ月が経過し、緊急災害支援は徐々に縮小されています。しかし、私たちはこれからが正念場と思っています。今後の活動にご期待いただくとともに、ご支援をよろしくお願いいたします。

 PCATや被災地への派遣登録などについての詳細は、PCATのホームページをご覧ください。
http://pcat.primary-care.or.jp/htdocs/