1週間以上を過ぎても特集番組が毎日組まれ、日本の大惨事について報道されています(原稿執筆時点)。これはドイツでは極めて異例なことだそうです。

 東日本大震災は、地震、津波、原子力発電所の事故が重なり、過去にない大災害となってしまいました。ドイツではもはや「カタストローフェ(Katastrophe)=大災害」を通り越し、「アポカリュプセ(Apokalypse)=(黙示録を思わせるような)破滅」という表現が使われています。

 「あり得ないことが起こってしまった」とドイツ人もかなりショックを受けたようです。友人や同僚、患者さんからも多くの励ましの言葉をいただきました。このような破滅的状況にもかかわらず、秩序を守る日本人の忍耐強さ、助け合いの姿は驚きをもって報道されています。例えば、スーパーマーケットに長蛇の列を作り、争うこともせず、じっと順番を待っている光景は、ドイツでは想像がつかないようです。

 しかし同時に、放射線被曝の恐ろしさをよく知っているはずの日本が、地震や津波の危険性が高い国土であるにもかかわらず、原発の建設を進め、理由はともあれ、原発に頼りきりの状況を作ってしまったことに批判が出ていることも確かです。ドイツでは日本で起きてしまった大惨事を境に、「核エネルギー時代の終わりが来た」と捉える風潮が強くなっています。実際に稼働年数の長い原発7基の運転を一時停止しました。

 「技術の中には失敗が決して許されないものがある」。ドイツのトークショー番組で出てきた言葉が心に残ります。この番組では、1950年代のドイツのある枢機卿(Kardinal)の言葉も引用されました。「100%確実といえる技術など存在しない。100%の安全はあり得ないのだから、核エネルギー技術は使用されてはならない」

 被災した方々がどうか希望を失わず、新しい未来を創っていけますように。そして亡くなった方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。