欧州リウマチ学会で口述発表に臨んだ女子高生Amrita Sehgal氏

 欧州リウマチ学会(EULAR)では、若手から重鎮に至るまで女性研究者の姿が目立ちました。女性の閣僚も多く、機会均等が徹底している欧州ならではかもしれません。その中に今回、とびっきりの若手が登場し、注目を集めました。

 米国で近年、骨粗鬆症由来大腿骨頸部骨折が減少しているという報告を一般口演で発表したAmrita Sehgalがその人(写真)。現在、日経メディカル オンラインで開設中の欧州リウマチ学会ダイジェストで速報として取り上げています(詳しくはこちら)。この女性、日本人の目には大人びて見えますが、なんと17歳。スタンフォード大学医学部にほど近い、米カリフォルニア州のMenlo-Atherton高校に在学中の現役女子高生です。

 発表内容は、米国でビスフォスフォネート製剤が承認され、ハイリスク高齢者に対する無料の骨粗鬆症スクリーニングが予算承認された1996年頃を境に、骨粗鬆症によるとみなされる大腿骨頸部骨折による入院が急減している、というものです。公開されたデータベースを基にした内容で、シンプルながらいい着想の報告でした。

 感心したのはプレゼンテーションの素晴らしさです。パソコン上の原稿に目を落とす時間を最小限に抑え、フロアの聴衆を見据えてよく通る声で語りかける発表は、ベテラン研究者にも引けをとらないものでした。

 弁論テクニックに長けているだけでないことは、質疑応答に入ってすぐに分かりました。調査手法への疑問について的確に答え、臨床的な内容は顧問の共同研究者の回答を求め、最後までプレゼンテーションの主導権を握っていました。セッションにおける発表後、注目演題の発表者を集めた記者会見に臨んだ時も堂々とした態度は変わりませんでした。記者会見後に渡されたアイスクリームを食べる姿は女子高生そのものでしたが。

 現在、日本の若者が研究者の入口である大学院の修士課程に入学するのは22歳、医学系の博士課程入学は24歳です。それから研究手法とプレゼンテーションの基礎を学び、テーマを見つけていくのでは遅すぎる、という意見があります。意欲ある若手に早いうちから機会を与え、良いところをほめて能力を引き出していくことは、医療崩壊から医学崩壊への連鎖を防ぐ意味でも不可欠――そんな気がします。