厚生労働省は4月17日、熊本地震で被災した妊産婦乳幼児の支援に当たる際のポイントをまとめ、自治体の母子保健担当者や、妊産婦・小児の診療を担う医学会に向けて周知を依頼する文書を発出した(平成28年熊本地震で被災した妊産婦及び乳幼児等に対する支援のポイント)。

 避難所などで生活している妊産婦、乳幼児の支援の主なポイントは以下の6つ。

(1)妊産婦、乳幼児の所在を把握する
(2)要援護者として生活環境の確保、情報伝達、食料・水の配布などに配慮する
(3)心身の健康状態と症状に応じた対処方法の把握、対処後に症状が軽減しているかどうかの判断が求められる。そして症状に応じた対策・災害による生活の変化に応じた対策についての助言を行う
(4)妊婦健診や出産予定施設を把握して必要に応じて調整する
(5)乳幼児の保健・医療サービス利用状況の把握と支援
・乳幼児健診や医療機関の受診状況を確認し、必要に応じて受診を調整する
・新生児の発育栄養状態、ビタミンK2シロップの内服状況、先天性代謝異常検査、新生児聴覚検査の結果と育児不安の有無などを把握し、必要に応じて保健・医療サービス利用を助言する
(6)出産に向けた心身の準備や産後の回復、乳幼児は感染予防や体温保持のため、保温、栄養、感染防止、休息などへの配慮を行い、優先順位を考えて工夫しながら生活環境を整える

妊産婦、乳幼児で気を付けるべき症状

その他支援をする上で気を付けるべき点
 食事・水分は塩分の摂取量を考慮して可能な限りバランスの良い食事を取り、支給された食べ物でも塩分の濃い物は残すよう伝える。体重の変化などで充分な量の食事がとれているかを確認し、適度に水分を補給する。そして食中毒に注意するよう指導する。

 母乳育児をしていた場合はストレスなどで一時的に母乳分泌が低下することもあるため、不足分を粉ミルクで補う。また、安心して授乳できるスペースを確保出来るよう配慮する。

 調乳にペットボトルの水を使用する場合は硬水を避け、お湯が用意できなければ衛生的な水で粉ミルクを溶かす。授乳毎に準備し、残ったミルクは処分する。哺乳瓶の準備が難しければ衛生的なコップで代用し、哺乳瓶やコップを煮沸消毒や薬液消毒できないときは衛生的な水でよく洗って使う。

 また、乳幼児の体温は外気温に影響されやすいため、体温調節に配慮する。汗をかいていたら可能な限り肌着はこまめに替える。

 清潔な状態を保つため、入浴にこだわらず、タオルやウェットティッシュで拭く。特に陰部は部分的に洗ったり、拭くようにする(乳幼児によってはウェットティッシュで拭くとアルコール成分でかぶれることがあるので注意する)。おむつをこまめに交換できないと、清潔な状態を保ちにくくなる。おむつを短時間外して臀部の皮膚を乾燥させたり、おむつの入手が困難な場合はタオルなどを用いて使い捨てるなどの工夫をする。

 避難所生活では気疲れや人間関係のストレスを感じることが多い。そのため、気遣いのストレスを抱え込まないよう話し合う機会を用いたり、子どものストレスを和らげるために遊ばせる時間を設けるなどの対処を行う。

 さらに、不眠、不安が強い場合は医師に相談して薬剤の使用を検討する。妊婦や褥婦は血栓ができやすいことから、静脈血栓塞栓症にならないよう、水分を適度に取り、屈伸運動・散歩など身体をときどき動かして血液循環をよくするよう指導することなどを求めている。

被災した小児への支援
 被災した小児への支援のポイントは5点。(1)子どもの所在を把握する、(2)子どもの心身の健康状態を把握し、健康状態に応じた助言をする。必要に応じて心身の問題に対応できる専門家、医療機関などと連携する、(3)子どもの生活環境を把握し、生活リズムを整える。子ども同士の安全な遊びの場を確保するなど、子どもらしい日常生活が送れるよう配慮する、(4)子どもと過ごす親や大人が、子どもの思いや気持ちを受け止められるよう調整する、(5)食中毒や熱中症対策など季節の変化に応じた健康管理を行う――。

 その他、配慮すべきポイントとして、年齢分布や居住地域の近さ、身体的な問題(慢性疾患、障害、知的・発達障害・心理的な問題)を抱えているか、自立移動や生活行動に介助が必要か、家族の死亡・負傷や震災時に閉じ込められたといった被災時に特異な体験をしていないか、気になる言動や反応がないかを的確に把握することなどの必要性を呼び掛けている。