【C&Cユーザーフォーラム】大西・オーダーメイド創薬社長が講演

紙カルテに記した文字や図形を読み取り、電子カルテへ瞬時に転送

 伸び悩む電子カルテシステムの医療現場への普及。デジタルペンを使って簡易入力を実現し、新たな電子カルテを提案しているオーダーメイド創薬の大西洋三社長は、東京ビックサイトで開催されたNECのプライベートイベント「C&C ユーザーフォーラム」のワークショップ(12月7日)で、「原因のひとつは、医師がデータを入力する作業に手を取られ、患者とじっくり向き合えないこと」と指摘。現状、電子カルテの普及を阻んでいるのは、PCベースのキーボード入力にあると語った。

 「電子カルテシステムをはじめ、医療現場を支えるITインフラは、現状の業務フローに沿う形で導入でき、そして誰でも使いこなせるものでなければ普及しない」と、内科医としての経験を踏まえつつ、大西氏はこう言い切る。

 同社が開発したデジタルペンは、従来のキーボードやマウス、ペンタブレットと異なり、電子カルテへの文字や図形の入力をまったく意識せずに済むのが特徴だ。

 デジタルペンのペン先自体は、普通のボールペンであり、紙カルテ上にこれまで通り、自由に文字や図形を書ける。

 実は、患者の氏名や症状などを記入する紙カルテ上にあらかじめ、無数のドット(点)で構成される微細パターンを印字。ペンに内蔵された小型のCCD(電荷結合素子)カメラで、用紙上のドット・パターンを認識することで、筆跡を記録する。そのデータを、ワイヤレス通信を介して電子カルテ上に即座に反映させる仕組みだ。わざわざ用紙をスキャナで読み取る必要はない。

 点と点の間隔が約0.3mmのドット・パターンは市販のプリンタで普通紙に印刷可能という。「現在のシステム環境を生かしたまま容易に導入でき、使い方も簡単。利用者に対する教育コストも下げられる」(大西氏)。

 また、ペンに内蔵されたメモリには、ペン先が用紙に接してから離れるまでの、字画一つひとつがベクトルデータ化されて保持。各データにはタイムスタンプが付与されるため、筆順も含めて記録される。「後から書き加えた場合などの履歴管理も行える。内容が改ざんされたかどうかの証拠にもなり、内部統制を強化できる」(大西氏)。

 メモリには、データ量にも左右されるが、紙データ50〜100枚程度に相当する情報を記録できるという。病院や診療所から離れた場所で記入した場合でも、後からメモリ上のデータを、パソコンへ一括して転送できる。

 「万一、ペンを紛失したとしても、専用のソフトがなければ、データの解読はできない。メモリには単なるドット情報しか記録されておらず、情報の漏えいや悪用の危険性が低い」(大西氏)。

 デジタルペンの利用後には、ボールペン・インクで記入された紙カルテなどが残る。したがって、ペンの盗難・紛失や、システム・トラブルによるデータの消失といった、情報セキュリティにかかわる不測の事態にも対応できる。

 同製品はすでに、医療機関における治験などで利用されている実績がある。「タイムスタンプにより、治験者がいつ記入したかも判る」と大西氏は述べる。

 デジタルペンを活用した電子カルテシステムは、レセコンなど既存システムとの連携も可能だ。このほど、NECの電子カルテシステム「MegaOakHR」の入力支援ツールとして採用され、開業医などの未開拓市場への拡販を目論む。

 「ドクターや会計担当者は単純な入力作業から解放される。ドクターは、診療など本来力をかけたい業務に専心できる。こうした動きが、医療保険事務のコスト削減や、レセプトデータの有効活用による疾病予防などによる医療費の適正化につながれば」と大西氏は期待を込める。(取材は、柏崎 吉一=ライター)

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