所沢肛門病院(埼玉県所沢市):ペンタブレット入力、セットオーダー、電子化パス運用による効率化を実現

単科専門病院だから享受できた電子カルテのメリット

 所沢肛門病院は、肛門・大腸疾患(痔の治療や大腸内視鏡検査・治療)の分野で多くの診療実績を誇る大腸肛門科専門病院だ。X線や内視鏡画像のデジタル管理移行を機に、2010年9月から電子カルテの運用を開始している。カルテに記載する際に肛門患部の描画が必須であることから、診療部門すべてにペンタブレット型端末を導入し、テンプレートの活用で記載業務を効率化。疾患と治療方針が比較的限定される特徴を活かし、セットオーダーや手術入院パスの電子化によって、電子カルテ運用のメリットを享受している。
 


 

 2011年11月に開院30周年を迎えた所沢肛門病院(44床)は、全国でも数少ない大腸肛門科専門病院である。痔核などの肛門疾患治療や、大腸内視鏡をメインにした大腸癌診断、ポリープ切除などの内視鏡治療を専門に行なっている。日本大腸肛門病学会指導医・専門医を中心に6人の医師が在籍し、肛門手術は年間約2100件、大腸内視鏡検査は年間約8000件の実績を誇る。

所沢肛門病院の外観。右奥の建物が大腸検査センター

 「痔は手術を行っても再発する、という認識を多くの患者さんが持たれています。当院では再発のない治療をモットーとしており、その実績が認められ口コミで来院する患者さんが多いようです」と院長の栗原浩幸氏は説明する。数多くの臨床経験に基づいて、その成果を論文や学会などで発表してきており、高い評価を受けている。その1つとして、「後方複雑痔瘻および低位筋間痔瘻を明確化した痔瘻分類」で、2008年度の日本大腸肛門病学会賞を受賞している。

 2011年の大腸内視鏡検査総数は7870件で、1402件の大腸ポリープの切除を行なっている。発見した大腸癌は、早期癌77例を含む225例。同院における大腸内視鏡検査の特徴は、予約をせずに当日の朝来院して検査を受けられる点にある。本館隣にある大腸検査センターには、3室の内視鏡検査室と、当日に下剤を飲み腸管洗浄を行う前処置室を完備。毎日数十例の検査に対応できる人員体制と、効率的なプロセスの整備で、こうした効率の良い診療を可能にしている。

●画像のデジタル化を機に電子カルテ導入を検討
 

 所沢肛門病院が電子カルテシステム導入の検討を始めたのは、2010年の2月。きっかけは、旧来のフィルムによるX線装置が故障し、デジタルX線装置(DR)を導入することになったことだ。「大腸内視鏡画像といっしょに管理できるように、PACS導入を検討することになりました。検査画像をデジタル管理するならば、カルテも電子化して連携して参照できるようにした方がいい。また、単科病院は疾患も限られるので診療過程を標準化しやすく、以前から運用してきた紙によるパスを電子化すれば、効率的で便利になるだろうという考えもありました」(栗原氏)。
 

院長の栗原浩幸氏

 肛門部手術では、手術前日まで、手術当日の術前・術後、術後約1週間の退院まで、それぞれの治療・処置、使用薬剤、手術材料、処方、食事など、ほぼ一定のカリキュラムで進めることができるという。「日本でクリニカルパスが普及し始めたのは、1990年代半ばのこと。当院ではクリニカルパスという用語が国内で一般化される以前から、パスに相当する入院スケジュール管理を行ってきた」と栗原氏は説明する。

 大腸肛門科で電子カルテ化する場合、「所見を絵として記述することが容易にできるか、それが一番の課題」と栗原氏は指摘する。所見を絵としていかに記述し、保存するかという課題は、電子カルテを導入する多くの医師が抱える問題である。そこで栗原氏は、タブレット型の入力インターフェースであることを導入の条件とし、同院と付き合いのあるスペリオルアドバンテック(東京都八王子市)にデジタル化へ向けたインフラ整備について相談を持ちかけた。同社は、X線撮影装置や超音波診断装置など医療機器本体および周辺装置の販売、保守事業を手掛けている。

ワイズマンの電子カルテシステムERによる肛門部手術・入院クリニカルパス

 

 機種選定にあたっては、大手電子カルテベンダーを含め4社のデモ・プレゼンを受けて、最終的にワイズマンの電子カルテシステムER、医療事務管理システム(レセコンからのリプレース)を決定した。ワイズマンの電子カルテを採用した理由について、栗原氏はカルテ画面が紙カルテに近い仕様であったこと、ペンタブレットによるシェーマの描画が満足できたこと、オーダー操作が容易であったこと、要求に対する提案や対応がよかったことを挙げている。「いろいろな診療科で標準的に使用するケースと異なり、単科におけるニーズは明確でかつ細かい。そうした要求に対して、適切に対応できるアプローチを示してくれた点を高く評価しました」(栗原氏)。
 

PACSで内視鏡検査画像も一元管理している

 

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