金井病院(京都市):電子カルテ導入と患者IDの統一でグループでの情報共有を実現

急性期医療・在宅医療・予防医療をシステムで支援

 また、入院患者がクリニックによる在宅医療に移行した際にも、往診時の診療情報を病院の端末からも参照できるようになった。訪問看護師が在宅に移行した患者の必要な診療情報を事前に把握することができるなど、グループ施設による患者に対する一貫した診療継続が可能になった。

それぞれの部署で電子カルテにアクセスできるため業務効率化と情報共有が進んだ

 「在宅医療に移行する際には、病院の主治医・看護師と往診を担当する医師、訪問看護師、訪問服薬指導する薬剤師、ケアマネジャーなど、様々な職種のスタッフが退院前カンファレンスで情報を共有する必要があります。現在は施設間で事前に診療情報を参照・共有できるため、よりスムーズな在宅移行が可能になりました。また、在宅患者が病院で再受診するときは、往診時の経過記録を病院の端末で参照できるので、より適切な診療が可能になります」(金井氏)。

 また、画像検査など複数の検査予約を一元管理できる機能を実装したことで、新設した予約センターでの検査予約業務を、効率よく実施できるようになった。これまでの検査予約は、各部門で管理されている検査予約を電話などで確認しながら、患者の都合と調整するという煩雑な業務を強いられていた。特に1日で複数検査する患者の調整では大変な作業だったという。

 現在は、医師は検査指示するだけで、診察後に予約センターで患者の予定を聞きながら、予約管理一覧画面で簡単に予約ができる。複数の検査予約も簡単になった。こうしたオーダーのシステム化により、これまで30分〜1時間だった会計までの待ち時間が、10分前後へと劇的に短縮された。

看護副部長の奥邨志保美氏

 一方、院内各部門での情報共有環境が整い、これまで必要時に紙カルテを閲覧するために割いていた手間や時間がなくなり、部門間連携がスムーズになった。特に病棟看護部門やリハビリ部門で、その場の端末から電子カルテにアクセスできるようになったことのメリットを強調する。看護副部長の奥邨志保美氏は、次のように指摘している。

 「これまで医師の所見や検査データを見るときは、いちいち紙カルテにあたったり、電話で問い合わせたりしなければなりませんでした。今は端末で病棟記録を見ながらカルテ情報も参照できます。看護師カンファレンスの際も、カルテや看護記録、栄養状況など各部署の情報を横断的に参照できるようになりました。カンファレンスの質も上がったと思っています」。

●訪問診療や病棟業務におけるモバイルデバイスの有効活用を探る

 金井氏は、クリニックの電子カルテシステム刷新と同時に、訪問診療時にiPadで電子カルテにVPN接続して情報を参照できるようにした。また、訪問看護師や訪問薬剤師、介護スタッフと在宅患者の情報を共有する環境を、クラウドサービスの利用で実現している。

 従来、スタッフへの連絡事項は、患者宅に備えた連絡帳に手書きでメモを記入することで情報交換・共有を実現していた。急ぎの連絡の場合は、電話やFAXを利用した。それをGoogleのクラウドサービス「Google Document」を利用して、患者ごとのドキュメントファイルに連絡事項などを書き込むことで、各スタッフと情報共有するように変更した。

 「さまざまな職種のスタッフが別々に訪問するので、その際の情報共有・伝達は難しい。連絡帳では、訪問時でないと情報を見られませんし、電話やFAXはすぐに伝わりますが記録として残すには手間がかかります。往診時にiPadで入力すれば、リアルタイムな情報伝達と確実な共有管理が可能です。また、処方変更や診察記録をその場で入力すると、クリニックで待機する看護師が即座に電子カルテにコピー・ペーストしてくれるので、戻ってからは内容修正する程度で済んでしまいます」(金井氏)と往診時のiPadとクラウドサービス活用の利点を話す。

 金井病院では現在、常勤医全員と幹部職員にiPhoneを配布し、その他の職員とも携帯メールをコミュニケーションに活用している。「スマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイス活用が、病院内でも有効だと思っています。モバイル端末でのカルテ情報へのアクセス、病棟看護師によるバイタルデータの入力など、業務利用へと活用を拡大していきたいと考えています」(金井氏)と今後の展望の一端を述べた。

(増田 克善=日経メディカルオンライン/デジタルヘルスOnline 委嘱ライター)


 


 

■病院概要
名称:医療法人社団 淀さんせん会 金井病院
所在地:京都市伏見区淀木津町612-12
開設:1984年
理事長:金井伸行氏
院長:神谷康隆氏
診療科目:内科・神経内科・呼吸器科・消化器科・循環器科・リウマチ科・小児科・外科・整形外科・形成外科・脳神経外科・皮膚科・泌尿器科・肛門科・婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科・放射線科・漢方外来・もの忘れ外来・禁煙外来・生活習慣病外来・女性外来
病床数:158床(一般114床、療養44床)
Webサイト:http://www.kanaihospital.jp/
関連施設:デイサービスセンター「愛会」、在宅療養支援診療所「金井クリニック」、訪問看護ステーション「ひだまり」ほか
主要導入システム:ワイズマン「電子カルテシステムER」「病棟看護支援システムER」「臨床検査システムER」「タックリハビリテーション支援システム」「医療事務管理システム」

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