手術スタッフのステータス管理をリアルタイムで実現

タブレットモバイルPC活用した手術室管理---帝京大学医学部附属病院

手術中の看護師リソース管理に役立つMCA

TOUGHBOOK CF-H1

TOUGHBOOK CF-H1

 手術室管理システムの運用で重要な点は、リソースの計画はもちろんだが、手術中に各手術室を巡回しながら看護師の交代を柔軟かつ適切に行うことができること。従来の紙ベースの計画書で各看護師の昼食交代の時間および交代要員を細かく記入していても、手術進行によってはそれが忘れ去られることもある。そこで、インテルのモバイル・クリニカル・アシスタント(MCA)を基盤にしたタブレット型モバイルパソコン「TOUGHBOOK(タフブック)CF-H1」(パナソニック製、以下CF-H1:右写真)によって、手術室を巡回しながら看護師のステータスをチャックしたり、昼食交代を指示したりできるようにした。なお、各手術の開始・終了といったステータス管理は富士通の手術管理システムで行っており、そのデータもCF-H1でアクセスするシステムに連動して稼動している。

 「以前は手術室主任がメモ帳を片手に各手術室を回って口頭で指示していましたが、可搬性の高いCF-H1で手術管理システムにアクセスしながら看護師のステータス管理が確実にできるようになりました。これにより、看護師が昼食交代を確実に取れるようになり、勤務中の不公平感を解消できるようになりました」と、伊東氏はリアルタイムな管理が容易になったことのメリットを述べる。

 帝京大学病院は館内のすべてに無線アクセス環境が整備されており、無線LANモジュールが内蔵されたCF-H1だからこそ、Webアプリケーションである手術室管理システムに移動しながら利用できるようになったもの。伊東氏は、CF-H1は予想以上に軽量で手術室内で片手で持って操作できること、バッテリの長時間駆動も可能な点を評価している。また、無菌状態を保つ必要がある中央手術室において、CF-H1はアルコール消毒ができることや血液を浴びる可能性の高い場所での使用を可能にしている点も最適な選択肢だという。

可能性を秘める医療現場におけるMCAの活用範囲

 手術室内での利用において優位性の高さが認められたCF-H1だが、その活用の拡大として考えられているのが自動麻酔記録システムでの利用だ。同システムは生体情報モニタからの術中のバイタルサインデータを自動で収集し情報保管、参照可能なようにもする装置だが、「現在、この自動麻酔記録システムのアプリケーションを開発していますが、術中にリアルタイムで波形データをモニタリングする際にCF-H1は有効かもしれません。Webアプリケーションとして開発しているので、CF-H1で容易に手術室内でアクセスして見ることが可能です」(澤氏)。

帝京大学医療情報システム研究センター工学博士・助教の水谷晃三氏

帝京大学医療情報システム研究センター工学博士・助教の水谷晃三氏

 また、Bluetoothによるデータ通信の利用も考えられる。帝京大学病院にはフォトセンターという部門があり、手術中の写真撮影を行う専門職員がいる。近日中に撮影したデータをBluetoothで転送できるデジタルカメラを導入予定で、医療情報システム研究センター助教 水谷晃三氏がそのデータ取り込み用のアプリケーションも開発した。「手術中に撮影した画像データをBluetoothによって近傍の固定端末で受信し、最終的にiEHRに取り込むためのアプリケーションですが、これをCF-H1上で稼動させれば簡単にできると思います。CF-H1にはバーコードリーダーも装備されていますから、撮影した画像データと同時に患者識別のバーコード情報を転送すれば、患者名とのひも付けが自動的にできるようになります」(水谷氏)と指摘する。

 MCAは病棟における看護業務での活用がメインに開発されたといってもいいが、実装する各種機能や耐薬品性・防滴性能などにより手術室での利用をはじめとして、今後さまざまな可能性があると澤氏は結んだ。(増田 克善=日経メディカル オンライン委嘱ライター)



■病院概要
名称:帝京大学医学部附属病院
住所:東京都板橋区加賀2-11-1
病床数:1154床(一般:1107床/精神:47床)
主な承認指定:特定機能病院/救命救急センター/総合周産期母子医療センター/がん診療連携拠点病院/救急医療機関指定/災害拠点病院/臨床研修指定病院
Webサイト: http://www.teikyo-u.ac.jp/hospital/

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