事例研究:藤沢市民病院

現場で「使いやすい」持参薬指示表作成の実現へ

 JUS D.I.で作成する持参薬管理表(表●1)は、PDFもしくはExcelファイル、CSVファイルへの出力ができる。喜古氏はそのデータの必要な部分を活かして、Excelのマクロ機能を使って病棟の現場で運用しやすい持参薬指示表へ変換する仕組みを作り上げた。カルテや指示簿に持参薬を転記する作業も必要がなく、何よりも現場での使い勝手がいい持参薬管理が可能になるシステムだ。


表●1:JUS D.I.で作成される持参薬管理表

表●1:JUS D.I.で作成される持参薬管理表


 現在作成した持参薬指示表(表●2)は、本体コード、色、メーカー名などの項目を削除し、医師名、継続・変更・中止などの指示欄、指示日などの項目を追加した。また、採用薬か非採用薬かをわかりやすい表示にしたほか、標準フォーマットでは備考欄にまとめて記載されていた持参数、残日数などの情報をそれぞれ個別の欄を設けて運用しやすくした。服用中止や変更があった場合、それが一覧のあちこちに表示されると運用の際にミスを誘発する危険があるので、継続薬は上位に、中止薬は下位に表示されるよう並べ替え機能も追加している。さらには、看護師の要望を取り入れて、2週間記入できる投薬表も下段に付加した。


 実際の運用の流れは、薬剤師がJUS D.I.の持参薬管理表作成機能を利用して入院患者の持参薬をチェック・入力。それをExcelファイルに出力して、作成したマクロ機能によって持参薬指示表フォーマットに変換し、ファイルを病棟別のフォルダに保存する。医師はそのファイルを開いて、医師名、指示(継続・変更・中止など)、および指示日を入力する。看護師はそれを投薬指示簿として利用する。


 現段階では、「オーダの観点でいうと指示の追加や変更などの履歴管理をしていないため、ファイル更新の有無は欄外のタイムスタンプを頼りにするしかないこと。まだ試行錯誤の段階なので、投薬表の記入はプリントアウトしたものを使っている場合もあり、そのときは必ず最新版のファイルをプリントアウトして、タイムスタンプで確認しなければならない手間がかかること」(喜古氏)との課題を認識し、改良の余地はまだあるという。


表●2:カスタマイズして利用している持参薬指示表

表●2:カスタマイズして利用している持参薬指示表

 


さまざまな工夫により活用の幅を広げる


 同院が組み上げた持参薬管理システムは、Excelファイルで出力されるデータをマクロ機能で変換するという仕組みを利用して、持参薬管理データを「現場で使いやすくする」活用例のひとつとして挙げられるだろう。喜古氏はまた、同様のデータを使って服薬指導書に簡単にコピーできる仕組みも作っている。これは、患者の持参薬を含めた薬品名を服薬指導書に書き込む手間が省ける上に、ミスも防げるものだ。同氏は、「ちょっとした工夫によって、日常の作業効率や安全性を簡単に向上させることができます。これも、JUS D.I.の機能が充実しているからこそ可能になることです」という。


 喜古氏が開発した持参薬管理表や服薬指導書作成などの仕組みは、すでにメーカーの日本ユースウェアシステムにフィードバックするとともに、JUS D.I.の機能強化の意見交換を行っている。同氏は「今後より一層、機能が進化していくことを期待している」という。


 また、藤沢市民病院に赴任した当初はJUS D.I.の導入準備段階で、一時期、JUS D.I.を利用できない環境を過ごした経験を振り返りながら、「医師からの医薬品の問い合わせに対しても、JUS D.I.があればオーダを見ながらでも受け答えができますが、導入前はいちいち離席して他の空いているPCや医薬品集を探して答えていましたから、大幅な時間短縮に繋がります。しかも、JUS D.I.の機能を広く医師に認知してもらえば、医師もJUS D.I.を活用して医薬品情報を自ら探しますから、問い合わせの数も大幅に減り、その余剰時間を他の業務に多く割けるようになります。このことこそ、何事にも代えられないメリットでしょう」とまとめた。


(増田 克善=委嘱ライター)




■病院概要
名称:藤沢市民病院
住所:神奈川県藤沢市藤沢2-6-1
病床数:一般530床、感染症6床
Webサイト:http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/hospital/
システム開発:日本ユースウェアシステム (東京・品川)
総販売元:スズケン

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