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ガイドライン外来診療2009

社会不安障害

  • 東京厚生年金病院 神経科・心療内科 部長 大坪 天平

診断

  • SAD(社会不安障害)患者は人前で恥をかいたり、当惑したりすることに過剰に恐怖を抱くあまり、そのような社会的状況を回避し、そのために社会生活や対人関係が障害されている。
  • 人前でのパフォーマンスや相互交流の社会的状況では、パニック発作症状、つまり、動悸、振戦、赤面、発汗過多、尿意頻回などの身体症状が出現する。
  • SAD患者は、恐怖が過剰であり、不合理であることを自覚している。
  • ほとんどの社会的状況に過度の恐怖を抱いているSADを「全般型」、1つか2つの限られた状況のみで症状を示すものを「非全般型」とする2つのサブタイプに大別される。
  • SADには他の不安障害や大うつ病の併存が多い。
  • SADのほとんどは小児期後半から青年期に発症するが、ときに成人になって、パフォーマンスの失敗を契機に発症することもある。

治療

  • 治療開始に当たって、十分なサイコエデュケーションを行ったうえで、患者の希望を聞くことが重要である。
  • 治療は大きく薬物療法(SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が第1選択薬)と認知行動療法に分けられる。
  • わが国でSADに保険適用があるSSRIはフルボキサミンマレイン酸塩(ルボックス®など)のみである。効果発現以降、最低1年はSSRIの服用を継続する。
  • ベンゾジアゼピン系抗不安薬(アルプラゾラム〈ソラナックス®など〉*、クロナゼパム〈リボトリール®など〉*)は、依存形成やアルコールとの相互作用、傾眠、ふらつきに注意しながら、治療開始初期のみの使用とするか、頓服的使用に抑える。
  • *保険適用注意

処方例

    (いずれかを選択)

  • ルボックス錠(50mg) 3錠 分3 食後
  • 25mg/日から開始し、漸増する。服用初期の嘔気、胃部不快感などの副作用に備え、患者の希望によってはナウゼリンやガスモチンを併用する。
  • ソラナックス錠*(0.4mg) 1錠 不安時頓用
  • SSRIの効果が発現するまでの、治療開始初期のみの使用とする。
  • *保険適用注意

患者・家族への説明のポイント

  1. SADは治療によって軽快する可能性のある疾患である。1剤目のSSRIで改善する確率は45〜65%である。内気な性格の問題と放置せず、専門医に相談する。
  2. 対人緊張を和らげる目的で飲酒するのは、かえって新たな問題をつくるのでやめるよう指導する。
  3. 小さな目標を立て、少しずつ行動練習をし、行動範囲を広げるよう指導する。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • QOLの低下が著しい場合
  • 全般型SADの場合
  • 他の不安障害や大うつ病の併存がみられる場合
  • SSRIなどの薬物療法で改善がみられない場合

参考文献

  • American Psychiatric Association : Diagnostic and statistical manual of mental disorders, fourth edition, text revision, DSM--TR. APA, Washington, D.C., 2000.(高橋三郎 他 訳:DSM--TR 精神疾患の診断・統計マニュアル新訂版.医学書院,東京,2004.)
  • Van Ameringen M, et al : WCA recommendations for the long-term treatment of social phobia. CNS Spectr 8(Suppl. 1): 40, 2003.
  • 平島奈津子:社会不安障害.今日の診療のために ガイドライン 外来診療 2008.日経メディカル開発,東京,2008.
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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