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ガイドライン外来診療2009

尿失禁

  • 獨協医科大学病院 泌尿器科 准教授 山西 友典

診断

  • 下部尿路症状(蓄尿・排尿・排尿後症状)を問診で評価する。
  • 問診により尿失禁の種類(腹圧性、切迫性、混合性尿失禁)を分類する。
  • 過活動膀胱症状質問票(OABSS)、尿失禁質問票(ICIQ-SF)などの症状スコアを用いる。
  • 身体的検査(前立腺直腸診、骨盤臓器脱の有無など)、尿検査(血尿、膿尿の有無)、排尿日誌(排尿回数、膀胱容量、失禁回数、失禁量)、残尿測定を行い、服用している薬物などを検討する。
  • 鑑別すべき疾患には、多尿および夜間多尿(排尿日誌により鑑別)、尿路感染(膀胱炎、前立腺炎)、膀胱結石、膀胱腫瘍、膀胱異物などによる膀胱の刺激、前立腺癌(PSA高値など)、溢流性尿失禁(高度の残尿)、間質性膀胱炎(蓄尿時の膀胱痛など)、心因性頻尿(通常尿意切迫を伴わず、精神性、習慣性な頻尿)などがある。

治療

  • どの尿失禁においても行動療法(生活指導、膀胱訓練などの計画療法、骨盤底筋体操などの理学療法)は重要である。
  • 腹圧性尿失禁においては骨盤底筋体操などの理学療法を中心に治療する。β2刺激薬は骨盤底筋の収縮力を増強させる。
  • 切迫性尿失禁治療の中心は抗コリン薬による薬物療法である。口内乾燥、便秘、排尿困難などの副作用に注意する。
  • 電気・磁気刺激療法(干渉低周波治療器ウロマスターTM には唯一保険適用あり)などの補助療法も有効である。

処方例

    切迫性尿失禁

    (以下のいずれかを選択)

  • ポラキス錠(2/3mg) 1日6〜9mg 分2〜3 食後
  • バップフォー錠(10/20mg) 1日10〜20mg 分1 食後
  • デトルシトールカプセル(2/4mg) 1カプセル 分1 食後
  • ベシケア錠(2.5/5mg) 1日5〜10mg 分1 食後
  • ウリトス錠(0.1mg) または ステーブラ錠(0.1mg) 2錠 分2 食後
  • 腹圧性尿失禁

  • スピロペント錠(10μg) 2〜4錠 分2 朝 夕 食後

患者・家族への説明のポイント

  1. 尿失禁や過活動膀胱で悩んでいる人は多いので、自分だけが特別ではないことを説明する。また年のせいと諦めたり、恥ずかしいからと受診しない人が多いが、治療するとよくなるので、まずは治療することを勧める。
  2. 骨盤底筋体操などの理学療法は、3カ月くらいは続けるよう指導する。
  3. 特に高齢者の場合は、家族や介助者による計画療法、排尿介助が必要であることを説明し、排尿日誌を利用しながら排尿間隔を検討する。
  4. 1〜3カ月の初期治療で改善しない場合、排尿困難が出現した場合、薬物の使用が困難な場合などは専門医を受診するよう勧める。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 血尿や繰り返す尿路感染がある場合
  • 残尿が多い(50ml以上)場合
  • 神経因性膀胱や前立腺肥大症を合併している場合
  • 1〜3カ月の初期治療(保存療法)で効果がみられない場合や、薬物が使用困難な場合

参考文献

  • 安田耕作 他:排尿障害の薬物治療.三輪書店,東京,2000.
  • Abrams P, et al : The standardisation of terminology in lower urinary tract function : Report from the standardisation sub-committee of the International Continence Society. Neurourol Urodyn 21 : 167, 2002.
  • 本間之夫 他:排尿に関する疫学的研究.日排尿機能会誌 14:266,2003.
  • 泌尿器科領域の治療標準化に関する研究班 編:EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン.じほう,東京,2004.
  • 日本排尿機能学会過活動膀胱診療ガイドライン作成委員会 編:過活動膀胱診療ガイドライン.ブラックウェルパブリッシング,東京,2005.
  • 山西友典 他:Neuromodulation.過活動膀胱のすべて.臨床泌尿器科 61: 603,2007.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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