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ガイドライン外来診療2009

尿路結石症

  • 大阪厚生年金病院 副院長(泌尿器科) 小出 卓生

診断

  • 初診外来では、疼痛、血尿、既往歴・家族歴の詳しい問診が大切である。
  • 尿路結石症の代表的な症状は、激しい疝痛と血尿である。
  • 急激な尿路通過障害に伴う激しい疝痛発作では、しばしば、悪心・嘔吐などの消化器症状を伴う。
  • 下部尿管結石では、残尿感などの膀胱刺激症状もみられる。
  • 腎結石や尿管結石でも長期間とどまっている結石では無症状のことが多い。
  • 尿路結石症でも血尿が観察されないことがある。
  • 急速な尿路閉塞時には、水腎症による背部痛も観察される。
  • 発熱、膿尿、細菌尿などを認めた場合、尿路感染症の合併を疑う。
  • 超音波断層法は尿路閉塞(水腎症)の診断に有用である。
  • KUBで尿路結石の同定を試みるが、結石成分や結石存在部位により同定できないこともある。尿酸結石などX線陰性結石では結石陰影を得られないことも理解しておく。
  • 骨盤静脈石、石灰化リンパ節ほか、結石以外の石灰化陰影を尿路結石陰影と間違わない。
  • 炎症所見が顕著な場合には急性腹症との鑑別、また、尿路悪性腫瘍を見逃さないように、他の疾患を常に念頭に置いておく。
  • X線単純CT検査は、尿路結石症の診断のみならず、他の疾患との鑑別にも有用である。
  • 疼痛寛解後の、排泄性尿路造影では、尿路結石症の確定診断のみならず尿路結石症治療方針決定に関する多くの情報が得られる。
  • 尿路結石症初期評価の血液検査では、特に炎症所見、腎機能の情報が初期外来として重要である。

治療

  • 疼痛のコントロールが、第1の目標である。
  • 疼痛治療の第1選択は非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)*坐薬である。
  • NSAIDs無効時には非麻薬性鎮痛薬を、さらに無効時には持続硬膜外麻酔も考慮する。
  • 軽度の疼痛コントロール維持には鎮痙薬の投与が有効である。
  • 疼痛管理後、尿路結石の性状や尿路閉塞の状態に応じて、保存的結石除去、積極的結石除去、緊急的尿ドレナージなどを検討する。
  • 結石長径5〜8mm以下の場合、自然排石が期待できる。
  • 結石長径が10mm以上の場合、積極的結石除去治療を検討する。自然排石期待治療は、水分摂取(1日尿量2,000ml以上)、運動、排石促進薬などを、尿路閉塞の増悪に注意しながら行う。
  • 自然排石があれば、結石は必ず採取するよう指導し結石分析を行う。
  • 積極的結石除去治療は専門医に紹介する。
  • 尿路結石症の再発率は高率であるので、残石や結石再発のフォローと、飲水指導、食事指導、再発予防薬などによる総合的再発予防治療の重要性を理解させる。
  • 専門医紹介により再発予防治療の個々の指導要領を検討し、長期の再発予防治療と定期的フォローアップを専門医との連携を保ちつつ行う。
  • *保険適用注意

臨床検査項目

  • 臨床検査項目には、検尿、血液検査が挙げられる。血尿は重要なサインであるが、一般外来で役立つ尿路結石症に特有の検査項目というものはなく、他の炎症性疾患との鑑別に重点を置く。

処方例

    疼痛コントロールの第1選択(アスピリン喘息や活動性消化性潰瘍患者では、投与注意)

    (いずれかを選択)

  • ボルタレン*坐剤(25/50mg) 1回25〜50mg 頓用
  • インテバン*坐剤(25/50mg) 1回25〜50mg 頓用
  • 上記で無効例またはNSAIDs坐薬禁忌症例

    (いずれかを選択)

  • ソセゴン注 1回15〜30mg 筋注
  • ペンタジン注 1回15〜30mg 筋注
  • それでも無効な激しい疼痛(できれば一般外来での使用は控える)

    (いずれかを選択)

  • オピスタン注 1回35mg 筋注 または 皮下注
  • オピアト注 1回10mg 皮下注
  • 軽度の疼痛コントロールや鎮痛効果の維持

  • ブスコパン注 1回10〜20mg+生理食塩水20mL 静注 または 1回10〜20mg 筋注
  • 排石促進

    (いずれかを選択、または適宜併用)
  • ウロカルン錠(225mg) 6錠 分3 食後
  • 猪苓湯 1日7.5g 分3 食前
  • *保険適用注意

患者・家族への説明のポイント

  1. 尿路結石症による疝痛発作は、必ず治まること、生命に危険な病気ではないことを説明する。
  2. 一度治まった疼痛がまた出現することがあることを説明し、疼痛時の鎮痛薬(坐薬など)の使用方法と必要時の救急外来への受診などを指示する。
  3. 疼痛が消失しても尿路結石症を放置しないよう指示する。
  4. 持続する疼痛や発熱など症状が増悪した場合や他の症状が顕在化した場合、感染合併による急性腎盂腎炎や他の疾患の可能性も考慮して再受診を指示する。
  5. 感染の増悪や尿路閉塞の遷延がある場合には、入院のうえ専門医による泌尿器科的処置が必要となる可能性も説明する。
  6. 疼痛消失後に、排泄性尿路造影により尿路結石と尿路閉塞の詳しい診断を行う必要があることを説明し、検査予約をとる。
  7. 長径5〜8mm以下の結石では自然排石が期待できること、10mm以上の結石はESWL(体外衝撃波砕石術)やEndourology(尿路内視鏡砕石術)が必要になることが多く、専門医の受診を勧める。
  8. 結石分析の重要性を説明し、排石時には結石を極力採取するよう指示する。
  9. 旅行、特に、やむを得ず飛行機旅行をする場合は鎮痛薬を必携するよう指示する。
  10. 尿路結石症は再発率が高いことを説明し、基礎疾患の検索や、再発予防のために十分な飲水指導や食事指導が必要なことを説明する。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 水腎症などはあるが尿路結石症と特定できない症例
  • 高度の感染症合併例
  • 尿路閉塞の寛解が長期間認められない症例
  • 長期間同じ部位に結石が存在する症例
  • 小児・妊婦症例
  • 両側尿路結石症症例、総腎機能低下症例 
  • 再発・多発結石症例
  • 同一家系内多発結石症例
  • シュウ酸カルシウム結石以外の結石症例
  • 結石基礎疾患の存在が疑われる症例
  • 積極的結石除去治療が必要と考えられる症例

参考文献

  • 日本泌尿器科学会,日本Endourology・ESWL学会,日本尿路結石症学会 編:尿路結石症診療ガイドライン.金原出版,東京,2002.
  • EAU/AUA Nephrolithiasis Guideline Panel : Guideline for the management of ureteral calculi. American Urological Association Education and Research, Inc., European Association of Urology, Baltimore (MD), 2007.
  • Yasui T, et al : Prevalence and epidemiological characteristics of urolithiasis in Japan : National trends between 1965 and 2005. Urology 71 : 209, 2008.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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