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ガイドライン外来診療2009

薬疹

  • 横浜市立大学医学部附属病院 皮膚科 教授 相原 道子

診断

  • 薬剤投与と皮疹や発熱の出現との時間的関係から薬疹を疑う。その際、臨床型によっては発症までの期間が数週間から数カ月に及ぶものがある。
  • 全身性の紅斑では感染症による発疹を鑑別する。
  • あらゆる薬剤が薬疹を発症し得るが、臨床型によっては原因薬剤が限定されるものがある。
  • 高熱、粘膜疹、水疱形成がみられたら重症薬疹への進展を疑う。
  • 原因薬剤の検索法には皮膚テスト、薬剤リンパ球刺激試験(DLST)、誘発試験が行われる。

治療

  • 軽症、中等症では薬剤の中止のみ、または抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬や中用量までのステロイド薬で軽快する。
  • 多くの重症薬疹では原因薬剤の中止後も増悪するため、発症早期からステロイド薬の投与を行う。特に重症なSJS(Stevens - Johnson症候群)/TEN(中毒性表皮壊死症)では、高用量のステロイド薬の投与や血漿交換療法または免疫グロブリン製剤の大量療法* などが行われる。
  • *保険適用注意

処方例

    軽症、中等症

    (以下を適宜選択または併用)

  • アレグラ錠(60mg) または アレロック錠(5mg) 2錠 分2
  • ネリゾナ軟膏 または アンテベート軟膏 1日2回塗布 
  • プレドニン錠(5mg) または リンデロン錠(0.5mg) 4〜6錠 分1〜2
  • 重症

    SJS/TEN

    (以下を適宜選択)

  • 水溶性プレドニン注 1日60〜80mg 分1〜2 点滴静注
    または リンデロン注 1日6〜8mg  分1〜2 点滴静注
  • ソル・メドロール注 1回1,000mg 1日1回 点滴静注 3日連続
    または リンデロン注 1回8〜10mg  分1〜2 点滴静注
    ・以後、状態をみながら数日おきに漸減する。
  • リンデロン点眼液 および タリビッド点眼液 1日3回 点眼
  • アズノール軟膏 1日1回 ガーゼにのばして貼付

AGEP(急性汎発性発疹性膿疱症)、DIHS(薬剤性過敏症症候群)

    (以下を適宜選択)

  • プレドニン錠(5mg) 4〜8錠 分1〜2
    または リンデロン錠(0.5mg) 4〜8錠 分1〜2
  • 水溶性プレドニン注 1日40〜60mg 分2 点滴静注
    または リンデロン注 1日4〜6mg 分1〜2 点滴静注

患者・家族への説明のポイント

  1. 薬疹の発症は薬剤摂取だけでなく、ウイルス感染や基礎疾患、遺伝的素因(体質)などが関与して発症することが多い。
  2. 以前に服用して異常がみられなかった薬剤でも、新たに服用したときに薬疹が発症することがある。
  3. 薬疹の原因は必ずしも発症直前に服用した薬剤ではなく、数日から数週間(ときに数カ月)服用している薬剤でも原因となる。
  4. 薬剤の中止後も軽快せず、重症化することがある。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 発症後、急速に症状が進行する場合
  • 高熱、灼熱感を伴う紅斑、水疱形成、粘膜疹、肝機能障害などの臓器障害がみられる場合
  • ステロイド薬投与後も症状が軽快しない、または減量で再燃する場合
  • 原因検索のための皮膚テストや誘発テストを行う場合

参考文献

  • 南光弘子:本邦における有害薬物反応(ADR)と重症薬疹,過去5年間に認定された皮膚障害の概要.日皮会誌 115:1155,2005.
  • 橋本公二:薬剤性過敏症症候群(DIHS).皮膚科診療プラクティス 19 薬疹を極める(塩原哲夫 編).p64,文光堂,東京,2006.
  • 難治性皮膚疾患(重症多形滲出性紅斑〈急性期〉を含む)の画期的治療法に関する研究.難治性疾患克服研究事業,平成18年度総括・分担研究報告書(主任研究者:橋本公二).p15,厚生労働科学研究費補助金,2007. 
  • 相原道子:薬疹の検査法update−リンパ球刺激試験.医学のあゆみ 220:875,2007.
  • 山根裕美子 他:本邦における最近6年間のStevens-Johnson syndrome とToxic epidermal necrolysis の治療の現状と死亡例の検討.日皮会誌 117:1315,2007.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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