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ガイドライン外来診療2009

白癬(皮膚糸状菌症)

  • 東京警察病院 皮膚科 部長 五十棲 健

診断

  • 本症は皮膚糸状菌(白癬菌)による感染症であるから、通常は直接鏡検(KOH法)による菌の証明により診断が確定される。
  • 鑑別すべき疾患は多彩であり、少しでも疑問に思ったらしかるべき専門医に紹介すべきである。
  • また、他の専門医で診断が確定し、治療によりある程度改善した実績があれば、同様の治療を継続することは許容されるであろう。

治 療

    経口抗真菌薬

  • 長期連用することが多いので、投与に当たっては、直接鏡検により診断を確認することが必要である。
  • 合併症、各種併用薬との相互作用、副作用に注意すべきであり、また、妊娠の可能性や希望についても考慮する。
  • 皮膚炎や2次感染を合併する場合、抗真菌薬の外用により症状増悪を来しやすいため、まず、これらの治療を優先する。さらに早期に確実な治療を望む場合は経口抗真菌薬を同時に併用する。
  • 炎症性白癬(真皮以下のレベルに炎症が達する症例)と頭部白癬では基本的に抗真菌薬内服はほぼ必須である。

処方例

    経口抗真菌薬

    (疾患、併用薬、患者希望を勘案して、以下のいずれかを選択)

  • ラミシール錠(125mg) 1錠 分1 朝食後 
  • イトリゾールカプセル(50mg) 2カプセル 分1 朝食直後
  • イトリゾールカプセルは爪白癬以外の白癬に投与。白癬以外の真菌にもおおむね有効。各種薬剤との相互作用に注意。
  • 爪白癬のパルス療法

  • イトリゾールカプセル(50mg) 8カプセル 分2 朝 夕 食直後 
  • 1週間内服し、3週間休薬をもって1クールとし、これを合計3クール投与する。3クールで、投与開始からおおむね6カ月以上、爪内部に有効薬剤濃度が保たれるとされる。ただし、初回投与から6カ月以上経過後、治療を見直す必要がある。
  • 外用抗真菌薬

    びらん、亀裂、疼痛部には原則として使用せず、抗菌薬軟膏または対症療法を優先させる。

    「白癬」という確信があり、細菌感染、皮膚炎を伴わない場合

    (以下のいずれかを選択)

  • ルリコンクリーム 1日1回 
  • ゼフナートクリーム 1日1回
  • メンタックスクリーム 1日1回
  • ペキロンクリーム 1日1回
  • 足白癬では足底全体に外用させる。
  • 足白癬、爪白癬で液剤を好む患者の場合

    (以下のいずれかを選択)

  • ルリコン液 1日1回
  • ラミシール液/スプレー 1日1回
  • メンタックス液/スプレー 1日1回
  • 浸軟を伴う趾間型足白癬の場合

    (いずれかを選択)

  • アトラント軟膏 1日1回
  • アスタット軟膏 1日1回
  • 浸軟を伴う趾間型足白癬には軟膏剤のほうが無難である。また、高率に合併する趾間型紅色陰癬、2次感染にもイミダゾール系はある程度有効であり、さらに、抗菌薬軟膏との混合や併用にもよい。
  • 外陰部

  • ニゾラールクリーム 1日1回
  • 外陰部では抗菌スペクトルが広く、カンジダや細菌が関与する場合にも有効なイミダゾール系を用いるとよい。

患者・家族への説明のポイント

    家族への感染を予防する最善の方法は、適切な治療を継続することである。病変部に外用すれば、他者に感染する確率は低くなる。治療せずに放っておけば、親子代々伝わっていくこともまれではない。したがって、可能な限り疾患を持つ家族全員での治療を推奨するが、もちろん、個々の患者ごとに診断を確認して最適な治療を選択すべきである。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 鑑別すべき疾患が多いので、直接鏡検法などの適切な診断技術と薬剤知識を持たないとき
  • 診断、治療に少しでも疑問を感じたとき
  • 患者が根治、あるいは、専門的な治療を希望するとき
  • 合併症、併用薬が多く、治療の選択肢に迷うとき
  • 爪、趾間浸軟病変、炎症や細菌感染を伴う場合、あるいは広範囲に罹患している場合など、適切な治療に専門的判断を要するとき
  • ある程度の治療で改善をみないか、逆に増悪したとき
  • 格闘技による伝播、ペットによる感染、頭部の病変、広義の深在性病変などが懸念される場合(この場合特に、培養、起因菌の同定も可能な皮膚真菌症を専門とする施設への紹介が望ましい)

参考文献

  • Roberts DT, et al : Guidelines for treatment of onychomycosis. Br J Dermatol 148 : 402, 2003.
  • 五十棲 健:エビデンスに基づくフットケアの実践:初期足病変に有効なフットケア.白癬・胼胝.EBNursing 4 : 34, 2003.
  • 仲 弥:ジェネリック・ガイド 抗真菌内服薬.Derma 113 : 27, 2006.
  • 五十棲 健:白癬(皮膚糸状菌症).今日の診療のために ガイドライン外来診療2007(泉 孝英 編).p291,日経メディカル開発,東京,2007.
  • 五十棲 健:皮膚真菌症.看護のための最新医学講座 第19巻 皮膚科疾患 第2版(日野原重明 他 監修,中川秀己 編).p338,中山書店,東京,2007.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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