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ガイドライン外来診療2009

高尿酸血症・痛風

  • 東京慈恵会医科大学附属病院 腎臓・高血圧内科 教授 大野 岩男

診断

  • 痛風は高尿酸血症を基礎に持ち、尿酸塩結晶の析出による痛風関節炎や痛風結節を来す疾患であり、診断にはその臨床的特徴が参考となる。

痛風の臨床的特徴

  • 痛風関節炎は激烈な疼痛で突然に発症する単関節炎であり、圧倒的に男性に多い。
  • 痛風関節炎の好発部位としては第1中足趾節関節であり、同部位に発赤、腫脹、圧痛、局所熱感を認める。
  • 発作は24時間以内にピークに達し、通常10日〜2週間で完全に消失する。

痛風検査の特徴

  • 高尿酸血症は男女を問わず、血清尿酸値が7.0mg/dlを超えるときと定義される。
  • 関節液検査において偏光顕微鏡にて負の複屈折性を有する尿酸塩の針状結晶を認める。
  • 尿酸塩を含んだ痛風結節を認める。骨・関節のX線検査において尿酸塩による骨破壊像であるpunched out像やoverhanging marginを認める。

高尿酸血症の病型診断

  • 尿中尿酸排泄量が0.51mg/kg/時より大きいときに尿酸産生過剰型とし、尿酸クリアランスが6.2ml/分より小さいときに尿酸排泄低下型とする。
  • 鑑別診断

  • 関節リウマチ、回帰性リウマチ、偽痛風、感染性関節炎、蜂窩織炎、外反母趾などが挙げられる。

痛風の診断基準

  • 尿酸塩結晶が関節液中に存在すること、または痛風結節の証明、または以下の項目うち6項目以上を満たすこと。

     (1)2回以上の急性関節炎の既往がある、(2)24時間以内に炎症がピークに達する、(3)単関節炎である、(4)関節の発赤がある、(5)第1中足趾節関節の疼痛または腫脹がある、(6)片側の第1中足趾節関節の病変である、(7)片側の足関節の病変である、(8)痛風結節(確診または疑診)がある、(9)血清尿酸値の上昇がある、(10)X線上の非対称性腫脹がある、(11)発作の完全な寛解がある。

治療

    生活指導

  • 高尿酸血症に対する生活指導は、肥満の解消、食事療法(摂取エネルギーの適正化、プリン体の摂取制限、尿をアルカリ化する食品の摂取、十分な水分摂取)、飲酒制限、運動の推奨が中心となる。
  • 薬物療法

  • 痛風発作時の第1日目には通常量の倍量のNSAIDsを使用する。
  • 高尿酸血症の治療は痛風発作が軽快した後に開始する。
  • 尿酸降下薬で治療中に起こる痛風発作では、尿酸降下薬はそのまま継続または減量を行い中止しない。
  • 急激に血清尿酸値を下げることは痛風再発作を誘発する可能性があるので、3〜6カ月かけてゆっくりと下げる。
  • 目標血清尿酸値は6.0mg/dl以下とする。
  • 尿酸降下薬の選択は高尿酸血症の病型に応じて行う。

処方例

    痛風発作時

    (いずれかを選択)

  • ボルタレン錠*(25mg)6錠 分3 食後 1日目のみ
     2日目からは3錠 分3 食後
  • ナイキサンカプセル(300mg) 3カプセル 分3 食後
     2日目からは2カプセル 分2 食後
  • ・ボルタレン錠には痛風発作に対する保険適用はないが、日常臨床で使いやすい。また、腎機能低下例ではNSAIDsの使用は避け、ステロイド薬を用いる。

    痛風関節炎予兆時

  • コルヒチン錠(0.5mg) 1回1錠 頓用 
  • ・1回のみ服用。

    産生過剰型高尿酸血症

  • ザイロリック錠(100mg) 1〜3錠 分1〜3 食後
  • ・腎機能低下例ではクレアチニンクリアランスに応じて投与量を調節する。

    排泄低下型高尿酸血症

    (以下を併用)

  • ユリノーム錠(25mg) 1〜4錠 分1〜2 食後
  • ウラリット錠(0.5g) 3〜6錠 分3 食後
  • ・尿路結石症の予防のために尿pHが6.0〜7.0になるようにウラリット錠を併用する。

    *保険適用注意

患者・家族への説明のポイント

  1. 痛風関節炎は一過性で消退するが、放置すると多発性関節炎や関節変形を来してくるばかりでなく、腎障害も引き起こしてくる。
  2. 高尿酸血症の是正には生涯にわたる治療が必要である。
  3. 高尿酸血症・痛風に対する対策のみならず、高尿酸血症・痛風に高率に合併する生活習慣病対策も併せて行っていくことが重要となる。
  4. 高尿酸血症・痛風には高率に尿路結石症が合併するので、尿路管理が重要となる。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 腎障害を伴う痛風関節炎
  • 多発性痛風関節炎で治療抵抗例
  • 痛風結節例
  • 家族性若年性高尿酸血症性腎症
  • 尿流障害・水腎症のある尿路結石症例

参考文献

  • Wallace SL, et al : Preliminary criteria for the classification of the acute arthritis of primary gout. Arthritis Rheum 20 : 895, 1997.
  • 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン作成委員会 編:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第1版.日本痛風・核酸代謝学会,東京,2002.
  • Zhang W, et al : EULAR evidence based recommendations for gout. Ann Rheum Dis 65 : 1301, 1312, 2006.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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