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ガイドライン外来診療2009

肥満症

  • 国立病院機構小倉医療センター 院長(内科) 岡嶋 泰一郎

診断

  • 肥満は体脂肪が過剰に蓄積された状態であり、日本人ではBMI≧25を肥満とする。
  • 肥満には単純性肥満(肥満の95%以上)と症候性肥満とがある。症候性肥満は、視床下部疾患、内分泌疾患、薬物によるもの、遺伝性疾患を含む。
  • 肥満に基づく健康障害を合併している場合、または合併が予測されるハイリスクな肥満は「肥満症」と呼び、治療が必要な疾患として扱う。
  • ハイリスク肥満とは上半身肥満(腹囲が男性≧85cm、女性≧90cm)または内臓脂肪型肥満(内臓脂肪面積≧100cm2 )のことであり、上半身肥満=内臓脂肪型肥満である。
  • 肥満症は「脂肪細胞の質的異常によるもの」(BMI 25〜30)と「脂肪細胞の量的異常によるもの」(BMI≧30)に大別される。

治療

  • 食事療法は肥満治療の基本である。内臓脂肪は減りやすいため、脂肪細胞の質的異常による肥満症では比較的制限の緩やかな1,800〜1,200kcal/日の治療食を用いる。量的異常による肥満症では肥満がより高度であり、1,400〜1,000kcal/日の治療食を使用する。
  • 運動療法はメディカルチェックをした後、無理のないように行う。歩行、軽いジョギングなど有酸素運動を行う。高齢者ではレジスタンス運動も併用する。
  • 行動療法はグラフ化体重日記などを用い、減量中、減量維持中も継続して記入する。
  • 薬物療法はマジンドール(サノレックス®)が使用されるが、BMI≧35の高度肥満症に保険適用がある。乱用を慎むため使用期間が制限されている。
  • 減量指導では、減量がうまくいかなくても患者のせいにすることなく、共に好ましい方向を模索することで患者が通院しやすい雰囲気をつくることが大切である。リバウンドは減量にはつきものであり、リバウンドしても落胆せずに再挑戦する。

処方例

  • サノレックス錠(0.5mg) 1錠 分1 昼食前

    ・2週間で効果がなければ2錠、分2、朝昼食前服用とし2週間観察する。それでも効果不十分であれば3錠、分3、毎食前服用とする。薬剤投与開始後3カ月となればいったん休薬する。

患者・家族への説明のポイント

  1. わずかな減量でも合併症の改善がみられることを理解してもらう。
  2. 合併症の改善がゴールの1つであることを説明する。
  3. 減量にリバウンドはつきものと割り切って、リバウンドしても落胆しないよう説明する。
  4. 減量がうまくいかなくても患者本人の意志の弱さのせいにしない。通院しやすい雰囲気をつくってドロップアウトを防止させる。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 肥満が高度で1,000kcalを下回るエネルギー制限を長く続ける場合、超低エネルギー食療法(≦600kcal)を行う必要がある場合は専門医を紹介し、入院治療を依頼
  • 重症な合併症(例えばPickwick症候群など)がある場合には循環器、呼吸器専門医と連携
  • 症候性肥満が疑われる場合、内分泌検査などのできる施設へ紹介する。向精神薬による肥満治療はきわめて困難であり、精神科医との連携が必要。減量により精神症状の悪化をみることがあるので注意

参考文献

  • 野末みほ 他:メタボリックシンドロームの背景“栄養と運動”−国民栄養調査から−.成人病と生活習慣病 35:825,2005.
  • 厚生労働省運動所要量・運動指針の策定検討会:健康づくりのための運動指針2006−エクササイズガイド2006.
  • 日本肥満学会肥満症治療ガイドライン作成委員会:肥満症治療ガイドライン2006.肥満研究 12 臨時増刊号,2006.
  • 日本肥満学会 編:肥満症治療ガイドラインダイジェスト版.協和企画,東京,2007.
  • 岡嶋泰一郎 他:肥満の治療をどうするか.臨牀と研究 84:1145,2007.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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