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ガイドライン外来診療2009

胃食道逆流症

  • 兵庫医科大学病院 消化器内科・上部消化管科 教授 三輪 洋人

診断

  • GERD(胃食道逆流症)には内視鏡的に食道炎を認める逆流性食道炎と内視鏡的には食道炎がないのに逆流症状のあるNERD(非びらん性胃食道逆流症)がある。
  • GERDの定型症状は胸やけと食道への逆流感(呑酸)の2つであり、この症状が週に2回以上あればGERDと診断する。
  • 胸やけや呑酸以外の症状、すなわちGERDの非定形症状(嗄声、咽喉頭異常感、慢性咳嗽、非心臓性胸痛、睡眠時無呼吸症候群など)にも注意を要する。
  • 胸やけなどのGERD症状は必ずしも内視鏡的粘膜傷害の重症度や24時間pHモニタリングでの酸逆流と相関しない。
  • 一般的に逆流性食道炎の内視鏡分類にはLos Angeles分類が使用されているが、この分類の客観性は高い。
  • 食道内の酸逆流を検査する目的で24時間pHモニタリングに代わり、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を短期間試験的に投与することにより症状の改善があるかどうかをみるPPIテストが行われることが多い。

治療

  • GERD治療の目標は、症状を軽減しQOLを向上させることである。
  • GERD治療の第1選択薬はPPIである。8週間のPPI投与により逆流性食道炎の粘膜傷害が治癒する例がほとんどである。
  • H2 受容体拮抗薬(H2 RA)はPPI抵抗性GERDの補助療法として用いられることが多い。
  • 過食や脂肪分摂取過多を避ける、腹圧を上げないなどの食事・生活指導も有効であるが、食事・生活指導だけでは不十分なことが多い。
  • 基本的にPPI抵抗性の症例が外科手術の適応となるが、現在では腹腔鏡下手術が主体となっている。また最近では内視鏡的逆流防止術も行われている。

処方例

    軽症・重症型逆流性食道炎の場合

    (以下のいずれかを選択)

  • オメプラール錠(20mg) 1錠 分1 朝食前
  • タケプロンカプセル/OD錠(30mg) 1カプセル/1錠 分1 朝食前
  • パリエット錠(10mg) 1錠 分1 朝食前
  • 8週間までの投与とする。
  • 上記の治療で軽快しない難治性GERDの場合

  • パリエット錠(20mg) 1錠 分1 朝食前
  • NAB(nocturnal acid breakthrough)の関与が考えられる場合にはH2 RA(ガスター錠20mgなど)の就寝前追加投与。
  • 再燃・再発を繰り返す逆流性食道炎の維持療法(以下のいずれかを選択)

  • パリエット錠(10mg) 1錠 分1 朝食前
  • タケプロンカプセル/OD錠(15/30mg) 1カプセル/1錠 分1 朝食
  • オメプラール錠(10/20mg) 1錠 分1 朝食前
  • NERDの場合

    (いずれかを選択)

  • オメプラール錠(10mg) 1錠 分1 朝食前
  • タケプロンカプセル/OD錠(15mg) 1カプセル/1錠 分1 朝食前
  • 4週間までの投与とする。

患者・家族への説明のポイント

  1. 胸やけなどの逆流症状はQOLを大きく低下させるので、症状を我慢せずに、積極的に治療を受けるべきであること。
  2. 逆流により食道以外にも多くの症状が出現する可能性があること。
  3. 現在の薬物治療はあくまでも対症療法であり、薬剤の中止により再発・再燃の可能性が高いこと。しかしながら重症化することは少なく、おおむね予後は良好であること。
  4. 症状の軽減や再発予防に食事をはじめ日常生活改善も効果があること。
  5. 重症例やバレット食道では狭窄・出血や食道腺癌発生の可能性があるため、十分な治療と内視鏡による定期的な経過観察が必要であること。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • PPIに不応性、抵抗性のGERD症例
  • 重症型逆流性食道炎で出血や狭窄を伴う場合
  • 外科的手術または内視鏡的治療の適応を考えるGERD症例
  • バレット食道(特に2または3cm以上のLSBE〈long segment Barret’s esophagus〉)で厳密な酸逆流管理や腺癌のスクリーニングが必要と考えられる場合

参考文献

  • Vakil N, et al : The Montreal definition and classification of gastroesophageal reflux disease : a global evidence-based consensus. Am J Gastroenterol 101 : 1900, 2006.
  • 三輪洋人:胃食道逆流症(GERD)の新しい考え方−とくにNERD(非びらん性胃食道逆流症)とBarrettの病態について−.日本消化器病学会雑誌 103:901,2006.
  • GERD研究会 編,本郷道夫 監修:GERDガイドライン策定に向けて.ヴァンメディカル,東京,2007.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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