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ガイドライン外来診療2009

高血圧

  • 吹田市・よこかわクリニック 院長 横川 晃治

診断

  • 高血圧患者は通常、無症状である。高血圧基準は診察室血圧140/90mmHg以上で、少なくとも2回以上の異なる機会における診察室血圧値に基づき診断する。
  • 高血圧歴、家族歴、生活習慣などの病歴聴取を行い、初診時には血圧左右差や血圧と脈拍の起立性変動を確認し、BMIや腹囲測定から肥満の程度を評価する。
  • リスクの層別化を念頭に置き、二次性高血圧を鑑別する。
  • 家庭血圧測定を活用することで、白衣高血圧、仮面高血圧、早朝高血圧などを評価する。

治療

  • 降圧目標レベルを明確にし、リスクの層別化に応じた管理計画を立てる。
  • すべての高血圧患者に生活習慣の修正を指導する。
  • 降圧薬の積極的適応と禁忌を考慮して第1選択薬を決定する。合併症がなく掬戮旅盞谿機160/100mmHg未満)では単剤で少量より開始し、凝抂幣紊旅盞谿機160/100mmHg以上)では初めから併用療法を考慮する。それでも降圧目標に達しない場合は3剤を併用する。
  • 降圧薬同士の相互作用、他薬剤との相互作用などに注意する。
  • 糖尿病、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム、高尿酸血症・痛風などのコントロールにも配慮する。

処方例

    (1)60歳、男性。糖尿病はないがメタボリックシンドロームを有し、診察室血圧166/94mmHg。二次性高血圧を否定するために採血。

    (生活習慣の修正指導をするとともに、いずれかを選択)

  • アムロジンOD錠(5mg) 1錠 分1 朝食後
  • カルブロック錠(16mg) 1錠 分1 朝食後
  • 2週間後、本態性高血圧と診断され、診察室血圧148/88mmHgと降圧不十分な場合

    (以下を併用)

  • ミカルディス錠(40mg) 1錠 分1 朝食後 または 夕食後
  • ・他のARBでもよい。

    4週間後、早朝家庭血圧が144/74mmHg。さらに降圧する必要があるときは、少量のサイアザイド系利尿薬を第3薬として追加し、3剤併用とする

  • ダイクロトライド錠(25mg) 半錠 分1 朝食後
  • ・6週間後、診察室血圧120/70mmHg、早朝家庭血圧116/70mmHgに。

    (2)70歳、女性。心肥大を指摘されたことがある。診察室血圧164/92mmHgの本態性高血圧

  • ミカルディス錠(40mg) 1錠 分1 朝食後
  • ・他のARBでもよい。

    降圧不十分な場合

    (以下を併用)

  • アムロジンOD錠(5mg) 1錠 分1 朝食後
  • (3)70歳、男性。2型糖尿病と慢性腎臓病を合併する本態性高血圧。eGFR=55mL/分/1.73m2 、HbA1c=6.7%、診察室血圧154/86mmHgの場合

    (以下のいずれかを選択)

  • ミカルディス錠(40mg) 1錠 分1 朝食後
  • ニューロタン錠(50mg) 1錠 分1 朝食後
  • アバプロ錠(100mg) 1錠 分1 朝食後
  • オルメテック錠(20mg) 1錠 分1 朝食後
  • 以上のいずれかの単剤でも降圧不十分な場合

    上述のCa拮抗薬や少量の利尿薬を併用する。ただし、ニューロタン錠の場合には、ニューロタン錠(50mg)1錠とダイクロトライド錠(25mg)半錠を1錠にしたプレミネント錠という合剤がある。

患者・家族への説明のポイント

  1. 高血圧治療の目的が、高血圧の持続による心血管病の発症、進展、再発の抑制であることを十分に理解してもらい、管理計画を口頭・書面でよく説明する。
  2. 家庭血圧測定の重要性を説明し、血圧手帳などを活用して積極的に降圧治療に参加するよう指導する。目標血圧レベルを明確にすることも治療意欲の向上につながる。
  3. 生活習慣の修正がきわめて重要であることを理解してもらう。
  4. 降圧薬の特徴、服用方法について説明し、特に副作用については十分に注意を払う。
  5. 治療により血圧が低下しても治癒ではないことを説明し、受診継続の必要性について理解してもらう。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 二次性高血圧が疑われる症例
  • ARBやACE阻害薬で腎機能が悪化した症例
  • 治療抵抗性高血圧例
  • 腎障害、心不全、脳卒中合併高血圧例
  • 高血圧緊急症・切迫症例
  • 降圧薬の副作用が疑われる症例
  • 妊娠高血圧例
  • 血圧の変動の大きい症例
  • 白衣高血圧や仮面高血圧の判断に迷う症例

参考文献

  • 日本高血圧学会 編:家庭血圧測定条件設定の指針.ライフサイエンス出版,東京,2003.
  • 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編:高血圧治療ガイドライン2004.日本高血圧学会,東京,2004.
  • ESH-ESC 2007 高血圧管理ガイドライン 日本語版.ヘスコインターナショナル,東京,2007.
  • 厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室:平成18年国民健康・栄養調査結果の概要について.2008.
     〈http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/04/h0430-2.html〉
  • 日本腎臓学会 他 編:CKD(慢性腎臓病)診療ガイド 高血圧編.東京医学社,東京,2008.
  • 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編:高血圧治療ガイドライン2009.日本高血圧学会,東京,2009.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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