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ガイドライン外来診療2009

気管支拡張症

  • 京都大学医学部附属病院 呼吸器内科 伊藤 穣

診断

  • 慢性の咳嗽や喀痰が特に若年、非喫煙者で認められる場合、喀痰から細菌が繰り返し培養される場合は、気管支拡張症を疑う。
  • 高分解能CT(HRCT)が気管支拡張症の診断に有用である。
  • 気管支拡張症の多くは原因不明であるが、診断時は原因疾患の検索を考慮する必要がある。

治療

  • 原因疾患がある場合は、その治療を優先的に行う。
  • 保存的治療としては、去痰薬の投与、気管支拡張療法などを行う。
  • 急性増悪時には早期に抗菌療法などによる治療を開始する。

処方例

    安定期の有症状例(wet type)の去痰

    (いずれかを選択)

  • ムコダイン錠(250mg) 6錠 分3
  • ムコソルバン錠(15mg) 3錠 分3
  • 閉塞性換気障害がある場合

    (いずれかを選択)

  • サルタノールインヘラー 1回1〜2吸入 頓用
  • セレベント(50μg) 1回1吸入 1日2回
  • 慢性副鼻腔炎、鼻症状がある場合

    (いずれかを選択)

  • エリスロシン錠(200mg) 2〜3錠 分2〜3
  • クラリシッド錠(200mg) 1錠 分1
  • 急性増悪時

    経口薬

  • アベロックス錠(400mg) 1錠 分1
  • 注射薬

    (いずれかを選択)

  • ユナシン-S静注用*(1.5g) 1回2バイアル 1日2〜4回 点滴静注
  • ロセフィン静注用(1g) 1回1〜2バイアル 1日1回 点滴静注
  • 重症例(緑膿菌定着例)

    (いずれかを選択)

  • メロペン点滴用(0.5g) 1回1バイアル 1日3〜4回 点滴静注
  • ゾシン静注用(4.5g) 1回1バイアル 1日3〜4回 点滴静注
  • 血痰、喀血時

    (以下を併用)

  • アドナ錠(30mg) 3錠 分3
  • トランサミン錠(250mg) 3〜6錠 分3
  • *保険適用注意

患者・家族への説明のポイント

  1. 気管支拡張症は慢性の咳嗽や喀痰、ときに血痰を呈する疾患である。
  2. 拡張した気管支はもとに戻らないが、気道感染を防ぐことでさらなる進行を抑えることが大切である。
  3. 気道感染の増悪時には、適切に抗菌療法などの治療を受けることが必要である。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 気管支拡張症の原因診断を確定する場合
  • 急性増悪により重篤な呼吸困難や右心不全徴候などを示す場合
  • 重篤な喀血を来した場合
  • 増悪を繰り返し経年的に呼吸機能が低下している場合

参考文献

  • Keistinen T, et al : Bronchiectasis : an orphan disease with a poorly-understood prognosis. Eur Respir J 10 : 2784, 1997.
  • 日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会 編:日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」成人気道感染症診療の基本的考え方.日本呼吸器学会,東京,2003.
  • Rosen MJ : Chronic cough due to bronchiectasis. ACCP evidence-based clinical practice guidelines. Chest 129(1 Suppl) : 122S, 2006.
  • British Thoracic Society Standards of Care Committee : BTS statement on criteria for specialist referral, admission, discharge and follow-up for adults with respiratory disease. Thorax 63(Suppl 1) : i1, 2008.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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