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ガイドライン外来診療2009

非結核性抗酸菌症

  • 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター 感染症診断・治療研究室長 露口 一成

診断

  • 画像的には、上肺野に空洞を伴う結節影を認める結核類似型と、中葉・舌区に小葉中心性の小結節影と気管支拡張を認める小結節・気管支拡張型が代表的なものである。
  • 喀痰抗酸菌塗抹・培養検査が最も重要な検査であり、3回連続で行うのが望ましい。
  • 非結核性抗酸菌は環境常在菌であるためヒト検体からの1回だけの検出では混入の可能性が否定できないので、非結核性抗酸菌症との診断には菌を複数回検出することが必要である。また、肺結核や肺癌など他の疾患を除外診断することが必要である。
  • 菌種ごとに病態、予後、治療法が異なるので、菌種の同定を正確に行う。

治療

  • 診断がついても全例にただちに治療を行うわけではない。ただし、将来的に悪化する可能性があるので定期的な経過観察は必要である(ただし、M. kansasii 症は薬剤の効果が良好なことから積極的に治療を行う)。
  • 治療が長期に及ぶので、薬剤の副作用(特に視力障害、聴力障害)には十分注意する。

臨床検査項目

  • 抗酸菌塗抹・培養検査 今なお結核・NTM(非結核性抗酸菌)症の診断には欠かせない検査である。培養検査法としては、小川培地法よりも、液体培地を用いたMGIT® 法が迅速性・感度ともに優れている。
  • 核酸増幅法 喀痰などの臨床検体から直接抗酸菌の遺伝子を増幅して検出を行うものであり、結核菌検出法としてMTD® 法、PCR法などがあるが、PCR法ではMAC(M. avium complex)の検出も行える。ただし、PCR陽性だけでは結果の解釈に苦慮することがあるので、必ず塗抹・培養検査を併用する。
  • 菌種同定法 培養陽性となった検体の菌種同定には次のような検査を行う。ナイアシンテストなどの生化学的同定法は現在ではほとんど行われない。

    (1)キャピリアTB® (イムノクロマトグラフィ法):結核菌が特異的に分泌する蛋白を検出するもので簡便であり15分で結果が判明するので結核菌かどうかを判定するには最も適している。

    (2)アキュプローブ® :DNAプローブ法による同定法で特異性に優れている。結核菌、MACの同定が行える。

    (3)DDHマイコバクテリア® :DNA-DNAハイブリダイゼーション法によるもので、結核菌、MAC、M. kansasii、M. abscessusを含めた18菌種の同定が行える。日常遭遇するNTMの大部分が同定可能である。

処方例

    MAC症(以下を併用)

  • リファンピシンカプセル*(150mg) 2〜4カプセル 分1 朝食後
  • エブトール錠*(250mg) 2〜3錠 分1 朝食後
  • クラリシッド錠(200mg) 3〜4錠 分2 朝 夕 食後
  • 硫酸ストレプトマイシン注* 15mg/kg 週2〜3回 筋注(重症例に対して)
  • 投与量は体重により増減する。

    M. kansasii 症(以下を併用)

  • イスコチン錠*(100mg) 2〜3錠 分1 朝食後
  • リファンピシンカプセル*(150mg) 2〜4カプセル 分1 朝食後
  • エブトール錠*(250mg) 2〜3錠 分1 朝食後
  • 投与量は体重により増減する。

    *保険適用注意

患者・家族への説明のポイント

  1. 他人への感染性はまったくない。
  2. 薬剤による化学療法はある程度有効ではあるが、完治することは少なく一生の付き合いになる病気である。
  3. 発病には体の抵抗力の関与も大きいと思われる。過労により悪化することがあるので無理しないこと。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 結核が否定され非結核性抗酸菌症と判明すれば緊急で専門医に送る必要性はない
  • 治療を行うべきかどうか迷う例、治療を行っているにもかかわらず悪化する例、治療を終了すべきかどうか迷う例などでは考慮する

参考文献

  • Griffith DE, et al : An official ATS/IDSA statement : diagnosis, treatment, and prevention of nontuberculous mycobacterial diseases. Am J Respir Crit Care Med 175 : 367, 2007.
  • 日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会:肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針−2008年.結核 83:525,2008.
  • 日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会:肺非結核性抗酸菌症に対する外科治療の指針.結核 83:527,2008.
  • 日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会:肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解−2008暫定.結核 83:731,2008.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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