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ガイドライン外来診療2009

肺結核

  • 国立病院機構愛媛病院 院長(呼吸器内科) 西村 一孝 
    国立病院機構愛媛病院 呼吸器内科 医長 阿部 聖裕

診断

  • 咳、痰など呼吸器症状が2週間以上続く場合は、結核を疑うことが大切である。
  • 胸部画像検査では、上肺野(S1、S2)やS6優位の結節影や空洞、浸潤影を示すこと多いが、画像のみでの診断は難しい。過去のフィルムとの比較が参考になる。
  • 喀痰などの臨床検体から結核菌を検出することにより、肺結核と確定診断がされる。喀痰では塗抹検査、培養検査、核酸増幅法などを行う。培養された菌に対しては薬剤感受性検査・同定検査を行う。
  • クォンティフェロン® は、結核の補助診断に有用である。

治療

  • 推奨されている多剤併用療法を定められた期間行う。
  • 医師は患者に副作用や受診間隔などの外来での管理について説明する。
  • 医師は保健所と共同で直接服薬確認療法(DOTS)を行い、服用終了まで治療監視を行う。
  • 喀痰塗抹陽性例、強い呼吸器症状、副作用や合併症のある場合、薬剤耐性の可能性がある例では入院治療を考慮する。
  • 薬剤耐性例、重篤な副作用が認められる場合、治療失敗例は専門医へ紹介する。

臨床検査項目/臨床検査値(正常値/基準値)

  • 診断に必要な検査 喀痰抗酸菌塗抹培養同定検査(陰性)、PCR-TB(陰性) クォンティフェロン® TB-2G:0.1IU/ml未満(陰性)(0.35IU/ml以上が陽性で、その間は偽陽性)
  • 治療および管理に必要な検査* WBC:3,500〜8,500/mm3 、RBC:男性430〜570×104 /mm3 、女性370〜490×104 /mm3 、Plt:15〜35×104 /mm3 、AST(GOT):10〜35IU/ml、ALT(GPT):5〜38IU/ml、T-Bil:0.3〜1.3mg/dl、ALP:100〜340IU/l、LDH:106〜211IU/l、UA:4〜7mg/dl、BUN:8〜20mg/dl、Cr:0.4〜1.1 mg/dl、Glu:70〜110mg/dl、HbA1c:4.3〜5.8%、CRP:0.5mg/ml未満、ESR:2〜15mm/hr、HBs-Ag(陰性)、HCV抗体(陰性)
  • *院内の基準値を示す

処方例

    (A)法の場合:6カ月間の治療(以下の4剤を併用)

  • リファジンカプセル(150mg) 2〜4カプセル 分1 朝食前
  • イスコチン錠(100mg) 2〜3錠 分1 朝食後
  • エブトール錠(250mg) 2〜3錠 分1 朝食後
  • ピラマイド末 1.0〜1.5g 分1 朝食後(最初の2カ月間のみ投与)
  • (B)法の場合:9カ月間の治療(以下の3剤を併用)

  • リファジンカプセル(150mg) 2〜4カプセル 分1 朝食前
  • イスコチン錠(100mg) 2〜3錠 分1 朝食後
  • エブトール錠(250mg) 2〜3錠 分1 朝食後
  • ・80歳以上の高齢者では(B)法を選択する。投与量は体重により増減する。

患者・家族への説明のポイント

  1. 結核は3〜4種類の抗結核薬を定められた期間毎日内服すれば、ほとんどの場合治り得る病気である。不規則な内服の結果再発した場合は、結核菌が薬剤耐性化している可能性がある。
  2. 抗結核薬投与中には肝機能障害、視力障害、発熱、薬疹、食欲低下などの副作用が出現する可能性がある。治療中は喀痰検査のほか、定期的に副作用チェックのための血液検査や視力検査などが必要である。また、抗結核薬のリファンピシンは他の薬剤と相互作用を示すことがあり、他疾患で治療中の場合は注意が必要である。
  3. 結核は空気感染によるヒト−ヒト伝染病である。排菌がある場合は、治療により感染性がなくなるまで入院し、マスク着用など感染対策を講じることが必要である。
  4. 結核治療中は、十分な栄養、睡眠をとるなどし、無理をしないことが大切である。アルコールに関しては副作用の問題があり、摂取は控えるようにする。適切な治療により、症状や排菌がなくなれば(感染性がなくなれば)就労も可能である。
  5. 結核と診断された場合には、医師が保健所に届けることが義務づけられている。保健所は他者への感染の危険があると判断した場合、家庭や職場での接触者に対して接触者検診を行うことがある。

どのような場合に専門医に紹介すべきか

  • 喀痰塗抹陽性で、他者への感染の危険性が考えられる場合
  • 強い呼吸器症状・全身症状がある場合
  • 薬剤耐性結核の可能性がある場合(特にイソニアジド、リファンピシン)
  • 薬剤の副作用で治療に難渋する場合
  • 治療失敗例、再発例

参考文献

  • 日本結核病学会治療委員会:「結核医療の基準」の見直し.結核77:537,2002.
  • American Thoracic Society/Centers for Disease Control and Prevention/Infectious Diseases Society of America : Treatment of Tuberculosis. Am J Respir Crit Care Med 167 : 603, 2003.
  • 日本結核病学会治療委員会:「結核医療の基準」の見直し−第2報−.結核78:497,2003.
  • 厚生労働省健康局通知「感染症の予防及び感染症患者に関する法律における結核患者の入退院及び就業制限の取り扱いについて」.平成19年9月7日,10月1日.
  • 日本結核病学会治療委員会:「結核医療の基準」の見直し−2008年.結核83:529,2008.
ガイドライン外来診療2010
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編集主幹:泉 孝英(京都大学名誉教授/京都・中央診療所)

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