こんにちは。日経メディカル編集長の千田です。7月号の読みどころを紹介します。小誌は今月号で通巻500号を迎えました。1972年4月の創刊以来、37年に渡って現場の臨床医の方々に、最新の医療情報を提供してまいりました。雑誌不況と言われる昨今ですが、編集部一同、さらなる500号(つまり1000号)を目指して、再スタートを切る所存です。これからもご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。
さて、通巻500号を記念して、7月17日に臨時増刊号を発刊する予定です。読者の皆様の手元には8月号の前に1冊、増刊号が届きますので驚かれませんように。
その増刊号のメーンテーマは、『日経メディカルは500号で何を伝えてきたか』です。臨床医学、医療政策、医業経営、地域医療など様々な分野において、小誌がどんな報道を行ってきたかを検証し、これからの日本の医療の行方を展望します。
この増刊号の準備で、500号分の全目次と、かつて話題となった主要記事を読みました。そこで感じたことは、「40年近くたっても、日本の医療の本質は変わっていないなあ」ということです。70年代、80年代にも医師たちは救急医療や僻地医療の状況を嘆き、医業経営の大変さに不満をこぼしていました。進歩した治療技術に比べ、十年(四十年)一日の医療制度、医療供給体制……。そのあたりの詳細なリポートについては増刊号をお読み下さい。
もっとも、1点だけ、大きく様変わりしたことがありました。それが今月号の特集で取り上げた「医療安全」です。90年代ですら「医療安全」について小誌は本格的に取り上げていません。医療界の取り組みが、まだ真剣ではなかったことも影響しているようです。この10年でささやかですが、着実に進歩してきた医療安全。「変わった」医療の姿を本特集で実感して下さい。
今月号はスペシャルリポート「延命中止はもう裁かれない?」で尊厳死問題を取り上げました。今年2月に福岡大が公表した、ガイドラインにのっとっての延命中止。今回、警察・検察は動いたのか――といった情報に加え、これからの医療現場における尊厳死の在り方について考えました。その他、トレンドビューでは「見直し迫られる尿道炎治療」「蛍光造影で胆摘術を安全に」「椎体の圧迫骨折にセメント注入」など、最新の臨床の話題が盛り沢山です。こちらもどうぞお読み下さい。
『日経メディカル』編集長 千田 敏之

横浜市大病院で患者取り違え事故が起こった1999年は、わが国の「医療安全元年」だ。以後、事故やヒヤリ・ハットの報告、名称や外観が似た薬の改良、医療機器を使いこなすためのトレーニングなど、様々な取り組みが行われてきた。10年間の歩みを振り返り、なお残る課題を探る。

福岡大病院は2007年、日本救急医学会の終末期医療の指針に沿って、救急搬送された男性の延命措置を中止、今年2月、その事実を公表した。これまで各医療団体が独自に指針を定めてきたが、指針にのっとった延命中止事例が明らかになったのは初。指針が策定される以前は、医師が殺人罪に問われることもあった。

インドシアニングリーンという蛍光色素を静脈に注射し、近赤外光を照射するだけで、肉眼では分かりにくい胆管の枝ぶりや肝区域を明瞭に描出できる新しい造影法が開発された。胆管損傷のリスクがある腹腔鏡下胆摘術をより安全に、肝癌の切除をより確実にする造影法として、外科医の注目を集めている。

高齢者の腰痛や寝たきりの原因になる骨粗鬆症性の椎体圧迫骨折に、透視下で骨セメントを注入する経皮的椎体形成術を行う施設が増え始めた。コルセットによる保存的治療法に比べ、除痛効果が高く患者の満足度は高いが、術後の隣接椎体の再骨折などのリスクも指摘されている。

上山博康氏は北海道と秋田で脳外科手術の腕を磨き、今では「匠の手」を持つ脳神経外科医と評される。還暦を迎えた今でも、「頼ってくる患者は全員助けたい」との思いで、脳動脈瘤手術を中心に年間1000件近くの手術をこなす。その上山氏は若いころに、2人の恩師から、手技だけでなく医師としての心構えも学んだ。