2006.03.29

ダークチョコレート10g分のカカオを摂り続けると、心血管死とあらゆる原因による死亡リスクが半減する

 15年にわたって高齢者を追跡し、カカオを含む製品の習慣的な摂取と、血圧と心血管死の関係を調べたオランダの疫学研究の結果、カカオ製品の摂取が血圧を下げ、それとは独立して心血管死と、あらゆる原因による死のリスクを半減させることがわかった。血圧、心血管死、あらゆる原因による死とカカオ摂取が逆相関関係にあることを示した疫学的な研究はこれが初めてだという。オランダ国立公衆衛生環境研究所のBrian Buijsse氏らの研究成果で、詳細は、Archives of Internal Medicine誌2006年2月27日号に報告された。

 チョコレートやココア飲料の摂取が血圧を下げ、血管内皮の機能を高め、インスリン感受性を向上させることが無作為割付試験で示されている。が、多くは、1日100gのダークチョコレートを2週間摂取するなど、日常的な量を大きく超えるカカオ製品の摂取によって得られた結果だった。また、それらの試験は、カカオの効果が持続するのか一時的なのか、また、心血管疾患にも影響が及ぶのかは明らかにしていない。

 今回対象としたのはオランダZutphenで生まれ、1985年の時点で65〜84歳の男性コホート939人。調査は1985年と1990年、1995年に行われた。876人について食事歴を調べ、カカオ摂取量を推定した。危険因子と慢性疾患の有無について情報が得られた790人から、ベースラインで心血管疾患、糖尿病、がんの患者と降圧剤使用者は除外し、470人を対象とした。

 1週間の食事内容を質問と購入した食品量で確認、対象者が1日に摂取したカカオの量を推定した。食事の内容にほとんど変化がないことを3カ月後と12カ月後に確認した。健診時に血圧とBMI、コレステロール値などを測定。運動の頻度と程度、喫煙や社会経済的状況についても調べた。

 ベースラインでは、3分の1の男性がカカオを日常的に摂取していなかった。全体では、カカオ摂取量の平均は1日あたり2.11g。その約3分の2はチョコレートとして摂取されていた。カカオ摂取量に基づいて対象者を3分。最高三分位群の平均摂取量は4.18(2.90-6.10)g/日、第2三分位群は0.92(0.60-1.45)g/日、最低三分位群は0(0-0)g/日となった。カカオを多く摂取する男性は、脂肪の少ない食品を好み、砂糖を含む菓子類の摂取は多く、飲酒者で、ナッツや種子類を好む傾向が有意に高かった。カルシウムとマグネシウムの摂取量と総摂取熱量も多かった。逆に肉とコーヒーの摂取は少なかった。

 交絡因子候補(BMI、生活要因、アスピリンなどの薬剤の使用、食物の摂取、カロリー摂取など)で調整後の平均収縮期圧は、最低三分位群に比べ最高三分位群では3.7mmHg低く(傾向のp=0.03)、拡張期圧は2.1mmHg低かった(p=0.03)。

 1985〜2000年の追跡中に314人が死亡した。このうち152人は心血管死だった。Cox 比例ハザード解析の結果は、カカオの摂取が心血管死と逆相関することを示した。最低三分位群に比べ、最高三分位群の心血管死の相対リスクは、多変量調整後0.50(p=0.004)。次に、カカオ摂取による血圧低下が心血管死リスク減少に関係しているかを調べるため、血圧も調整に加えた。しかし、収縮期圧も拡張期圧も相対リスクには影響しなかった。

 また、最低三分位群に対する最高三分位群の、多変量調整後のあらゆる原因による死の相対リスクは0.53(p<0.001)。こちらにもカカオ摂取による有意なリスク減少が見られた。

 今回の最高三分位群が摂取していた4.2g/日のカカオは、ダークチョコレート10gの含有量に相当する。得られた結果は、少量のカカオ製品を長期的に摂取することにより、血圧低下がもたらされること、これとは独立して心血管死リスクの減少が見られることを示した。血圧以外の要素に対するカカオの影響、たとえば、血小板機能の抑制や低密度リポ蛋白の酸化の阻害、サイトカイン生成の調整、血清コレステロール値の改善などを通じて、カカオ含有製品がCVDリスクを減らす可能性がある。

 あらゆる原因による死のリスク減少には、カカオの抗酸化作用が関与する可能性はあるが、さらなる研究が必要だ。

 本論文の原題は「Cocoa Intake, Blood Pressure, and Cardiovascular Mortality」。アブストラクトはこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


■ 関連トピックス ■
2005.7.22 ダークチョコレートは本態性高血圧やインスリン抵抗性を改善する-イタリアの研究

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