2006.03.29

食道がん患者の放射線化学療法はシスプラチンを同時併用するレジメンが効率的

 昭和大学薬学部の戸村和希氏(写真)、向後麻里氏、聖路加国際病院の井上忠夫氏らの研究グループは、食道癌患者の放射線化学療法(CRT)では、シスプラチン(CDDP)を同時併用するレジメンがネダプラチン(CDGP)を併用するレジメンよりも費用対効果に優れるという研究結果をまとめた。成果は3月29日に仙台市で開催された日本薬学会のポスターセッションで発表された。

 研究グループは、1995年から2004年に昭和大学第二内科に入院し、CRT(CDDP + 5-FUもしくはCDGP + 5-FU)を受けた食道がん患者108人(CDDP群が72例で平均年齢が63.8±8.2 歳、男性が90.3%、CDGP群が36例で平均年齢が66.0±8.0 歳、男性が88.9%、組織型は両群とも97.2%が扁平上皮がん)を対象に薬理経済学的な解析を行った。

 CRT後の経過はマルコフモデル(複数の健康状態を一定期間ごとに設定したサイクルで推移するモデル)を作成して分析した。エンドポイントは死亡、分析の立場は医療機関とした。転帰は対象患者の診療録から調査し、108例について完全寛解率、1年生存率、生存期間中央値を調査した。費用は診療報酬明細書から直接医療費(入院費、薬剤費、検査費、材料費、診療費)のみを、28例を対象に計算した。

 治療スケジュールはCDDP40mg/m2もしくは45mg/m2を1日目と8日目に投与、5-FUは1日目から5日目までと8日目から12日目まで400mg/m2投与、放射線療法は1日あたり2Gyを1日目から5日目、8日目から12日目、15日から19日目まで投与するのを1コースとした。そして2コース終了後完全寛解、非完全寛解を判定した。

 その結果、治療効果についてはCRがCDDP群で41.7%、CDGP群で33.3%、一年再発率はCDDP群39.6%、CDGP群で46.7%だった。平均獲得生存年はCDDP群が18.23年だったのに対してCDGP群は16.31年だった。費用ついては、CDDP群の平均費用が492万8893円だったのに対してCDGP群は656万7285円だった。費用効果費(円/生存率)はCDDP群が27万373円だったのに対しCGRP群は40万2654円となった。増分費用効果費(費用CDGP−費用CDDP)/(効果CDGP−効果CDDP)は−85万3329円となり、CDDP群は費用、効果ともにCDGP群より優れ、1獲得生存年あたり約85万円節約できることが明らかとなった。(横山勇生)

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