2006.03.29

バルサルタンは骨髄由来前駆細胞による動脈硬化の進展を抑制する

 アンジオテンシンII(AII)は様々な経路を介し、動脈硬化病変の形成および進展に関与し、ARBはこれを抑制することが報告されている。東京大学循環器内科学の福田大受氏は、AT1受容体を阻害することで、動脈硬化病変の形成およびプラークの構成が改善されることを報告するとともに、動脈硬化病変の形成には骨髄由来前駆細胞が関与するが、バルサルタンは心臓移植後の動脈硬化に対し予防的効果を示すことを報告した。

 同氏らはApoE-/-マウスに高用量のARBおよび低用量のARB、ヒドララジンを投与したところ、高用量のARBで大動脈の動脈硬化病巣が有意に抑制された。また、低用量のARBにおいても脂肪沈着の抑制、コラーゲンの沈着の促進が確認された。この抗動脈硬化作用はARBと同程度の降圧作用を示したヒドララジンでは認められなかったことから、ARBの直接的な作用と考えられる。

 さらに、ApoE-/-のAT1受容体をノックアウトしたマウスにおいても同様の結果が得られている。

 一方、動脈硬化形成には骨髄由来の前駆細胞が関与していることが報告されているが、福田氏らは、心移植モデルマウスに移植施行7日前よりバルサルタン10mg/kg/日を投与することで、動脈硬化病巣を有意に抑制することを確認した。そして、これらのマウスの骨髄由来前駆細胞を検討した結果、バルサルタン群では、平滑筋様細胞への分化が有意に抑制されていることを見いだした。

 以上の結果より、AT1受容体の阻害によって動脈硬化形成だけでなく、プラークの構成内容をも改善する。さらに、AT1受容体は骨髄由来の前駆細胞の分化および動員にも関与する可能性が示唆されると結んだ。(中野哲史、医学ライター)

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