2006.03.28

【訂正】動脈壁硬化の改善により冠動脈イベント発症抑制が期待できるバルサルタン

 愛媛大学第二内科の渡邊早苗氏らは、以前に、左室肥大またはインスリン抵抗性を有する本態性高血圧患者では、動脈壁の膨張性や拡張期灌流の低下が認められることを報告した。これらは動脈硬化の進展に関与すると考えられている。一方、最近ではARBが動脈壁硬化を改善することが脈波伝達速度(PWV)の評価により示唆されている。

 同氏らは、本態性高血圧患者に対してバルサルタンを長期投与することで、動脈壁硬化を改善し、冠動脈イベント発症を抑制しうることを報告した。

 今回対象としたのは本態性高血圧患者24例(男性13例、女性11例、平均年齢65歳、治療前平均血圧160/89mmHg)で、バルサルタンは40〜80mg/日投与した。投与前、投与12カ月後、同24カ月後に血圧と脈拍、Bモードエコーにより内膜-中膜厚(IMT)、プラークスコア(PS)、cross-sectional distensibility coefficient(CSDC)、stiffness β、Vd(平均拡張速度)/Vs(平均収縮速度)ratioを評価した。

 その結果バルサルタン投与により、投与12カ月後および24カ月後の血圧はそれぞれ、143/80mmHg、141/82mmHgと有意に低下した(p<0.05)。平均IMT、および最大IMT、PSには治療前後で有意な変化は認められなかった。

 また、治療前に比べ治療12カ月後のCSDCには有意な変化は認められなかったが、治療前および治療12カ月後に比べ治療24カ月後のCSDCは1.84±0.93×10-3/mmHg、2.03±1.03×10-3/mmHg→3.05±1.81×10-3/mmHgと有意に上昇していた(p<0.05)。

 stiffness βは治療前と治療12週後では有意な変化は認められなかったが、治療前に比べ治療24週後には12.8±9.2→8.6±5.1と有意に低下していた(p<0.05)。治療前に比べ、Vd/Vs ratioは治療12週後には有意な変化は認められなかったが、治療24週後には0.47±0.11→0.50±0.11と有意に上昇していた(p<0.05)。

 これらの結果から渡邊氏は、バルサルタンの長期投与は動脈壁硬化および血行動態を改善し、本態性高血圧患者の冠動脈イベント発症を抑制しうると述べた。(中野哲史、医学ライター)


訂正 本文の第3〜第6段落に投与後の治療期間などとして、「12週後」「24週後」とありましたが、いずれも「12カ月後」「24カ月後」の誤りでした。お詫びして上記のように訂正いたします。

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