2006.03.28

バルサルタンは血流中を循環する単球に発現する接着分子を減少させる

 動脈硬化の発症や進展には血管内皮細胞の障害と単球の内皮への接着、内皮下への遊走が大きくかかわっている。大分医科大学第二内科の渡邉充氏らは、高血圧患者の単球表面に発現する接着分子を、降圧効果とは独立したバルサルタンの抗動脈硬化作用によって有意に減少させることを示した。

 対象は未治療高血圧患者12例(男性7、女性5、平均年齢60±9.9歳)で、試験開始前およびバルサルタン(80mg/日)投与4週後、16週後に血圧測定と空腹時採血を行った。接着分子は、フローサイトメトリーにて末梢血単球上のCD11b、CD18(血管内皮上のICAM-1、VCAM-1のカウンター受容体)、CD54(ICAM-1)、CD62L(L-selectin)を測定し、蛍光染色の平均濃度にて評価した。

 その結果、バルサルタンの16週間の投与により、収縮期血圧は173±19mmHgから144±11mmHgに、拡張期血圧は103±17mmHgから89±11mmHgに有意に低下した(p<0.05)。また、単球上のCD11b、CD18、CD54、CD62Lはバルサルタン投与16週後にそれぞれ600±334から274±111(p=0.024)、596±309から328±131(p=0.036)、188±41から137±28(p=0.039)、204±71から149±71(p=0.003)へと有意に低下した。しかし、血圧の低下率と接着分子の低下率には有意な相関は認められなかった。

 以上の結果より、渡邉氏は、バルサルタンは未治療高血圧患者における末梢血単球表面上の接着分子を有意に低下させるが、この作用はバルサルタンの降圧効果によるものではなく、独立した抗動脈硬化作用と推察することができると述べた。(中野哲史、医学ライター)


Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医学書を安く買う方法・高く売る方法 Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:24
  2. 78歳女性。主訴:激しい胸痛 総合内科BASICドリル FBシェア数:173
  3. 医療者の「献身的な労働」に甘えていませんか? 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」 FBシェア数:146
  4. ケアマネがショックを受けた医師からの一言 医師が知らない介護の話 FBシェア数:399
  5. ガイドラインではエコー、現場では… 画像診断大国の若手医師へ FBシェア数:160
  6. 終末期にどこまで抗菌薬を使用すべきか シリーズ◎在宅医療における感染対策(4) FBシェア数:606
  7. 「これ以上は無益」と言えない気持ちも伝えよう 国立病院機構東京医療センター倫理サポートチームの尾藤誠司氏に聞く FBシェア数:285
  8. いまの医師の好みはベンツよりハイブリッド車 医師1000人に聞きました FBシェア数:207
  9. 認知症700万人時代、数少ない収入アップの道 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:23
  10. 医師達はいかにして検察を騙してきたか 池田正行の「氾濫する思考停止のワナ」 FBシェア数:1