2006.03.27

再生医療を究極の医療にしたい――会長講演

 「再生医療は今、大きな壁に当たっているが、細胞のinjury、cell death、repair、そしてregenerationをひとつの現象として捉えることで、再生医療を臨床における究極の医療にしていきたい」―。第70回記念日本循環器学会総会・学術集会の会長で岐阜大学再生医科学循環病態学教授の藤原久義氏は、「Regeneration Medicine as the Ultimate Medicine」と題した会長講演の中でこう話した。

 講演の中で藤原氏はG-CSF(granulocyte colony stimulating factor:粒球コロニー刺激因子)を使った研究を紹介した。研究グループでは、拡張型心筋症の動物モデルでG-CSFが骨髄細胞の分化を促進して、心機能を改善することをすでに確認している。心筋梗塞患者や狭心症患者においても、G-CSFを10日間、皮下注射することで、血流が改善し臨床症状も良くなった。また閉塞性動脈硬化症の患者においてもG-CSFの皮下注射で痛みが軽減し、「トイレに行けなかった人が行けるようになったり、数mしか歩けなかった人が50m歩けるようになった」という。ただ、「これらは限られた効果であり、幹細胞から心筋細胞や血管に分化するのはまれで、心機能や心リモデリングの改善の度合いは当初期待していたものより小さい」とも話す。

 「いま再生医療は、in vitroで成功したものがin vivoではできないという深刻な限界にあるが、injury、cell death、repair、regenerationといった一連の細胞のメカニズムもいずれ解明され、近い将来、in vivoでも再生医療は可能になるだろう。そのときこそ再生医療が究極的な医療になる」と語った。座長の河合忠一氏(武田総合病院)も、「再生医療はいま扉が開かれたばかりだ。会場の研究者の方々もぜひ、今後の研究で良い成績を出してほしい」と話し、講演を締めくくった。(八倉巻尚子、医療ライター)


Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 患者が増えない… 院長が突き止めた原因とは 診療所経営駆け込み寺 FBシェア数:1
  2. 「運転禁止薬」の運転一律規制はおかしい 学会トピック◎第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 FBシェア数:389
  3. いつまでも症状が長引く感染性腸炎の正体 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:161
  4. ついに登場!希釈式自己血輸血 リポート◎自己血輸血に3つ目の柱、手術当日でも可能な新手法 FBシェア数:220
  5. 70歳男性。主訴:全身の掻痒感と褐色尿 総合内科BASICドリル FBシェア数:1
  6. オペ室マジック 病院珍百景 FBシェア数:0
  7. 便潜血陽性者は早めに内視鏡検査受けるべき JAMA誌から FBシェア数:100
  8. 「酸味が嫌い」な患者のBMIとHbA1cは高い 学会トピック◎第60回日本糖尿病学会年次学術集会 FBシェア数:9
  9. エレベーター横のモニターが医師の事務負担減 特集◎医師こそ働き方改革を《事例−1》 FBシェア数:165
  10. 一期一会の患者でも経過に注目してみよう! 画像診断大国の若手医師へ FBシェア数:33