2006.03.24

食中毒の毒素も使い方しだい、ボツリヌス菌毒素 美容注射を13年間、双子姉妹の肌に大きな差が

 3月初旬に米国のサンフランシスコ市で開かれた全米皮膚科学会総会のポスターセッションで、一卵性の双子の姉妹の顔写真を並べて展示し、そのシワの出具合の差を見せるという風変わりな発表が行われた。発表をしたのは米カリフォルニア州ビバリーヒルズの頭頸部美容外科医のウィリアム・J・バインダー医師。 

 姉妹はいずれも現在38歳。ひとりは13年前から定期的に年に2〜3回A群ボツリヌス菌が作り出す神経毒素による美容注射を額と眉間に打ち続け、姉妹のもう一人は13年間に2回しかこの注射を打たなかった。

 左右に並べられた双子の写真のシワの本数や肌の質感の差は歴然としたもので、ポスター発表を見た人が口々に「親子に見える」というほど違いが生じていた。

 食中毒の原因菌としてボツリヌス菌は非常に恐れられている。ところが、この神経毒素には、適量を使うと、注射した周囲の筋肉だけの収縮を止める働きがある。そのため、製剤化されて表情筋や不随意的に起こるけいれんを止める薬剤として汎用されている。

 これまで、一時的な効果は明らかになっていたが、長期間の経過の中で本質的なシワ形成を防げるかどうかの厳密な証拠はなかった。一卵性の双子の経過を追ったこの発表により、ボツリヌス毒素の注射で表情筋の収縮を抑えることは長期的にもシワ対策になることが証明された。

 なお、毒素を13年間注射し続けたがこの双子の一人の女性に、副作用などは全くなく、「長期間の安全性も証明された」とバインダー医師は考察している。(藤井省吾、日経ヘルス)

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