2006.03.24

動脈の硬さの指標である大動脈脈波速度が心血管死の予測因子となる可能性

 動脈の硬さの指標となる大動脈脈波速度(aPWV)が、心血管死の予測因子となる可能性が報告された。広島市医師会臨床検査センター内科の井上典子氏らが3月24日、セッション「Atherosclerosis, clinical-6」で発表した。

 研究グループは、大動脈脈波速度と心血管死との関係を明らかにする目的で、50〜69歳までの一般男性3996人(平均年齢61.0±5.5歳)を対象に、1988年から2004年まで追跡調査した(平均追跡期間は8.7年、2〜15年)。

 分析では、対象者をaPWV値に基づいて4グループに分け比較検討した。4分位分析で分類したところ、Q1が5.5〜7.4m/s(924人)、Q2が7.5〜8.1m/s(1035人)、Q3が8.2〜8.9m/s(958人)、Q4が9.0〜14.7m/s(1079人)となった。また死因については、死亡証明書に基づいて判断し、病歴による裏付けもとった。

 調査の結果、435例の死亡が確認され、そのうち心血管死は114例だった。

 各グループごとの総死亡率は、Q1で10.5/1000人年、Q2で11.0、Q3で15.3、Q4で21.3と、Q4グループがもっとも高く、Q1に比べて有意に高かった(p<0.05)。また心血管疾患による死亡率の方は、Q1で1.84/1000人年、Q2で2.31、Q3で3.86、Q4で5.83と、こちらもQ4グループがQ1に比べて有意に高かった(p<0.05)。

 Kaplan-Meierの生存率曲線を求めると、aPWV値が高いグループほど生存率が悪いことが明らかだった。

 また、コックス比例ハザードモデルによる分析では、aPWV値が高いグループほど、総死亡リスクも心血管死リスクも、ともに高いことが分かった。総死亡では、Q1に対する相対リスクはQ2が1.06、Q3が1.22(p<0.01)、Q4が1.31(p<0.0001)だった。一方の心血管死では、Q1に対する相対リスクはQ2が1.26、Q3が1.45(p<0.05)、Q4が1.51(p<0.0001) だった。特にQ4における差は、年齢や血圧、BMIのほか心血管疾患に関連するほかの因子で調整した後でも、有意のままだった。

 これらの結果から研究グループは、「日本人の一般的な集団において、大動脈脈波速度は、心血管死の予測因子となりうる」と結論づけた。(三和護、医療局編集委員)

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