2006.03.17

がん性貧血に対するエポエチンβの投与はがん腫を問わず有効

 がん治療に伴う貧血患者に対するエポエチンβの皮下投与でがん腫を問わず貧血改善効果(ヘモグロビン濃度増加)が臨床試験で確認された。また、腎性貧血に投与する場合よりも大幅に多く投与するにも関わらず、臨床上問題となる事象は見出されず安全性が確認された。試験はJapan Erythropoietin Study Groupによって行われ、国立がんセンター東病院の南博信氏が3月17日に大阪市で開催された日本臨床腫瘍学会総会のポスターディスカッションIで発表した。エポエチンβのがん性貧血に対する効果はプラセボを対象にした試験でも認められており、現在、中外製薬が適応拡大申請を行っている。

 研究グループは化学療法を行っている非骨髄性悪性腫瘍の貧血患者(ヘモグロビン濃度が11.0g/dL以下)を対象にエポエチンβを12週間投与した。3万6000IUを週1回皮下投与し、低反応例では8回目以降5万4000IUに増量した。週に3万6000IUの投与は腎性貧血で投与する場合の4倍量に相当する。

 104例が試験に登録され99例にエポエチンβが投与された。有効性評価例は98例で、投与開始後28日後以降の測定で、ヘモグロビン濃度が2.0g/dL以上増加した患者の割合は65例の66%となった。そのうち増量なしで増加が確認されたのは59例中の52例で、増量した群では39例中13例で増加が確認された。肺がん、悪性リンパ腫、乳がん、卵巣がん患者でヘモグロビン濃度が2.0g/dL以上増加した患者の割合は65%から80%でがんの種類による差はみいだされなかった。2.0g/dL以上増加した患者ではQOLの改善効果が確認された。

 薬物有害反応は99例中48例で133件確認されたが、主なものはLDH上昇が10%、頭痛、悪心が7%、発疹、背部痛が5%だった。重要な有害事象は3ケースが報告されたが、1例に見出されたラクナ梗塞は加齢によるものでエポエチンβとの因果関係はないとされた。残りの2ケースは高血圧が3例、抗EPO抗体陽性が2例だった。高血圧はエポエチンβとの因果関係は否定されなかったが、投与は継続された。抗EPO抗体陽性となったケースではヘモグロビン濃度や網状赤血球数の急激な低下は認められず、赤芽球癆の発現はなかった。(横山勇生)

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