2006.03.16

【日本胃癌学会速報】保険適応になったESD、今後の課題が研究会で議論

 第78回日本胃癌学会総会最終日の3月11日、同学会の付置研究会であるESD研究会が全日にわたって開催された。おりしも、今年4月の診療報酬改定で、胃の早期悪性腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の保険収載が決定したばかり(11000点)。会場は立ち見も出る盛況ぶりで、ESDへの関心の高さをうかがわせた。

 ESD研究会の世話人でもある国立がんセンター東病院長の吉田茂昭氏は、研究会のまとめとなる特別発言を行った。同氏はまず、研究会で調査を行った結果、既にESDが全国で1年間に1万2000件も実施されていることを紹介、治療技術の質的保証が火急の課題と述べた。当面は毎年、技術講習会を開催する予定だ。

 現在の「胃癌治療ガイドライン」では、ESDの適応病変を、従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)の適応と同じ、2cm以下の潰瘍を伴わない分化型粘膜癌と定めている。

 しかし、国立がんセンター中央病院内視鏡部の後藤田卓志氏らが2000年、大きさを問わず、潰瘍を伴わない分化型粘膜癌や、3cm以下の、潰瘍を伴う分化型粘膜癌などではリンパ節転移の可能性が非常に少ないことを報告、これを受けて現在、多くの施設が、上記のような病変を「適応拡大病変」として、ESDを行っているとみられる。

 吉田氏はこうした現状を踏まえ、「保険収載された以上、適応外とか適応拡大という考え方はなじまない。ESD研究会が中心となって適応範囲を確定し、治療ガイドラインの策定に当たりたい」と意欲をみせた。さらに、日本消化器内視鏡学会などと協力して、技術認定制度の導入が可能か、議論を進めているところだという。(小又理恵子)


■ 関連トピックス ■
◆2006.2.13 日本消化管学会速報】 ESDの術前診断の限界がフォーラムで議論に
◆2005.10.17 DDW-Japan2005速報】 ESDの有効性と安全性を明確にする前向き試験まもなくスタート
◆2005.10.11 DDW-Japan2005速報】 体格と相関しない脂肪沈着が胃のESDを困難にしている
◆2005.8.29 大腸IIc研究会速報】 世界的スペシャリストも苦戦する困難例のライブデモを披露
◆2005.7.22 EMR研究会速報】 胃癌に対するESDの適応拡大範囲が議論に
◆2005.7.22 EMR研究会速報】 習得難しい内視鏡的粘膜下層剥離術 研究会が来年、トレーニングコースを開催
◆2005.5.31 消化器内視鏡学会速報】 “ゴッドハンド”による特別ハンズオンレクチャー開催
◆2005.5.27 消化器内視鏡学会速報】 東京で第69回日本消化器内視鏡学会総会が開幕
◆2005.4.6 ここまで進化した消化管内視鏡 「日経メディカル4月号特別編集版」より

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