2006.03.16

薬剤溶出ステントでもリスク変わらず、STEMI対象の大規模試験で判明

 ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)に対して、薬剤溶出性ステントを留置しても、心臓死や再梗塞の発症は従来ステントと変わらないことが分かった。これは、STEMI患者620人を対象に行われた前向きランダム化比較試験PASSION(Randomized Comparison of Paclitaxel eluting Stent versus Conventional Stent in STE-myocardial Infarction)の解析結果から明らかになったもの。オランダ・アムステルダムのOnze Lieve Vrouw Gasthuis循環器科のMauritis T. Dirksen氏が、第55回米国心臓病学会の「i2 summit late breaking clinical trials」セッションで発表した。心臓発作の中で最も重篤なSTEMIに対するDESの有効性について検証したのは今回が初めて。

 Dirksen氏らは、対象を従来ステント(BMS:bare-metal stent)留置群と薬剤溶出性ステント(DES:drug eluting stent)としてパクリタキセル溶出ステント留置群に無作為に分け、1年後の主要循環器イベントとして、心臓死、再梗塞、または標的病変再血行再建( TLR:target lesion revascularization )を主要エンドポイントとして検討した。両群で患者背景や血管造影所見などに有意差は見られなかった。

 その結果、1年後のMACEの発生率はBMS群12.6%、DES群で8.7%と後者で低かったものの有意差はなかった(p=0.12、ハザード比0.68)。心臓死または再梗塞の発症をみても、BMS群6.5%、DES群4.8%で両者に有意差はなかった(p=0.39、ハザード比0.74)。TLRの発生率については、試験開始後6カ月の時点ではDES群で有意に低かったものの(p=0.025)、1年後には有意差はなくなった(BMS群7.4%、DES群6.2%。p=0.23、ハザード比0.68)。

 以上の結果からDirksen氏は、「BMS群におけるMACEの発生率が当初の予想よりも低かった」ことを認めながらも、「MACEとTLRにおけるハザード比が0.68であり、これについては臨床上意味があるのではないか。今後は費用対効果も含め検討していく必要がある」と結論付けた。(井田恭子、日経メディカル)

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